眠れない、冷える、だるい。三つの根は一つ
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
眠れない。冷える。起きても疲れている
夜、布団に入っても足が冷たくて寝つけない。
靴下を履いて寝てみる。湯たんぽも入れてみる。それでも、朝になると身体がだるい。
7時間は寝ているはずなのに、疲れが全然抜けていない。
午前中はぼんやりして、頭がスッキリしない。昼過ぎにようやく動けるようになる。
夜中の3時、ふと目が覚める。背骨のあたりが突っ張っていて、肩が冷たい。布団の中なのに、なぜかぞくっとする。
また4時半に目が覚める。今度は足の指先が石のように冷たい。靴下を3枚重ねて寝ているのに、それでも冷たい。
朝、布団から足を出した瞬間、フローリングの冷たさが膝まで上がってくる。靴下を3枚履く前提でしか動けない朝が、もう何年も続いている。
睡眠薬を飲んだ夜の方が、翌朝かえって身体が重い。7時間眠ったはずなのに、起き上がるのに時間がかかる。そういう朝が続いている方へ。
眠れない夜が10年続くと、眠れることそのものを諦め始める。諦めると、今度は眠れた朝の感覚が思い出せなくなる。
でも、こんな朝があります。
朝7時。目覚ましより先に、スッと目が覚める。仙骨のあたりがじんわり温かく、布団から足を出してもフローリングの冷たさが膝まで上がってこない。靴下が何枚必要か、考えなくていい朝。頭が軽く、昨日の疲れが消えている感覚。
これは理想論ではありません。腎陽が戻ってきたとき、ご自身の身体に現れる変化です。
「眠れない」「冷える」「だるい」。
この三つを別々の症状として対処してきた方へ。
睡眠薬を飲む。冷え対策のサプリを飲む。栄養ドリンクで疲労を誤魔化す。
どれも一時しのぎで、根っこは変わらない。
それは三つの症状の根が同じだからです。
睡眠の問題は、寝室では解決しない
眠れないとき、まず手をつけるのは「寝室の環境」です。
マットレスを変える。枕を変える。遮光カーテンにする。
それで眠れるようになった方は、寝室の問題だった。変わらなかった方は、寝室より深いところに原因がある。
もちろん、寝室環境を整えることは無駄ではありません。マットレスも枕も、身体に合っている方が落ち着きやすいのは確かです。
でも、その層では届かない深さがある、と現場では考えています。
眠れない原因は、寝室にはありません。身体の中にあります。
もっと正確に言うと、「身体が冷えている」ことと「自律神経が切り替わらない」こと。この二つが同時に起きている。
マットレスを変えても眠れないのは、スポンジを交換しても水が出ないのと同じです。問題は器ではなく、流れが止まっているところにある。
これを言うと「睡眠薬を否定するのか」と問われることがあります。踏み込んだ言い方になりますが、薬で眠っている時間と、身体が陰陽の切替で眠っている時間は、別物だと現場では見ています。前者は眠りを強制し、後者は身体が自然に沈む。その質の差が、翌朝の重さに出る。この見解は、睡眠薬が必要な方に向けて言っているのではありません。ただ、「薬を飲んでも朝が重い」理由が分からないまま飲み続けている方には、伝えておきたいことがあります。
そして、この二つの根っこは同じところにあります。
腎陽虚。内臓の火力が落ちている状態です。
腎陽とは、単に「内臓を温める力」ではありません。夜になると陰陽が入れ替わる、その切替のためのエネルギー源です。腎陽が満ちていれば、昼は陽が優位で動き、夜になると自然に陰に沈む。このスイッチが、腎陽の火力で回っている。
腎陽は、家の暖房の給湯器のようなものです。湯が切れれば、どの蛇口をひねっても温水は出ない。部屋のラジエーターだけを修理しても、根本の給湯器が止まっていれば、また冷える。眠れないのに「眠れる部屋」を整えても、冷えているのに「靴下を増やす」だけでも、疲れているのに「栄養ドリンクを飲む」だけでも、根の給湯器には届かない。
…三つの症状、根は一つ。
お腹が温かい人は、よく眠れる
布団に入ると、5分もしないうちに眠りに落ちる。
朝、目覚ましが鳴る前にスッと目が覚める。身体が軽い。
そういう方を触ると、共通しているのはお腹の温かさ。腰のあたりにじんわりとした熱がある。
腎陽が十分にある状態です。
腎陽が満ちていると、自律神経のスイッチが自然に切り替わる。夜になれば副交感神経が優位になって、身体がゆるむ。末端まで血が巡って、手足が温かくなる。
朝7時、布団から足を出した瞬間に「あ、今日は冷たくない」と思える朝。仙骨のあたりがじんわりと温かく、フローリングを素足で踏めるような感覚。靴下を何枚も用意しなくてよい朝。それがご自身の腎陽が戻ってきたサインです。
午後3時。デスクで作業をしていて、手の指先が「軽い」と気づく。以前なら指先が鈍く、握るたびに固さを感じていた。それが今日は、スムーズに動く。その小さな変化が、腎陽の回復の証しです。
以前は朝ごとに「今日も疲れた」と思っていた方が、気づけば「今日は身体が軽い」を先に思うようになる。この逆転が、腎陽から起きてくる変化の核心です。
なぜ腎陽が三つの症状の根になるのか。その構造を、この先で読み解いていきます。
深い連鎖を、PNFCはこう見ている
第1層
表に現れている症状
複合的な不調 / 慢性化したサイン / 季節依存の波 / ケアしても戻る / 連鎖の固定
— ここを揉んでも、しばらくすると戻ってくる
第2層
巡りと呼吸の停滞
血の流れが鈍る / 水の巡りが滞る / 呼吸が浅くなる / 自律神経の揺れ
— 第1層の症状を作り出している、ひとつ手前の流れ
第3層 / 根
五臓の循環と季節のリズム
前の季節の過ごし方 / 五臓の連鎖 / 使われ方のズレ / 深層の眠り
— ここに手がつくと、上の二層が一緒にほどけはじめる
この記事の有料パートで読めること
有料パートでは、以下の内容を順を追って読み解きます。
- 腎陽虚から睡眠障害・冷え・慢性疲労に至る連鎖の全体像
- 三つの症状が同時に起きる理由と波及構造
- 冬至前後に不調が集中する季節の仕組み
- 腎陽を補う食材と五行の対応
- 背骨と骨盤の回旋が自律神経を整える原理
- 自分の腎陽レベルを見立てる5つのサイン
三つの不調の正体を知りたい方だけ、どうぞ。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
- ✓入門記事だけでは物足りなくなった
- ✓連鎖の構造そのものを理解したい
- ✓自分の身体を読む地図を持ちたい
- ✓一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい
今は別の道が合う方
- —対症療法だけで、充分整っている
- —短い情報だけで答えを得たい
- —受け身で改善を待ちたい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●見えている症状の三段下に流れている、根の構造
- ●上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
- ●季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
- ●食・動き・呼吸で根に手をつける順番
- ●自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 年齢的に、もう変わらないのではないかと感じることがあります。
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
この続きは有料パート
PNFC独自の三つ同時の見立て
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