産後の身体を取り戻す
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
冷えの根を別の入り口から読み解いた話は、こちらでゆっくり扱っています。
≫ 靴下を重ねても温まらない足先、その本当の理由
産後の身体を取り戻す
赤ちゃんは元気なのに、自分だけ動けない
夜中に何度も起きて、授乳して、やっとウトウトしたら朝が来る。布団から起き上がるとき、仙骨のあたりがまだ眠っているように重い。手をついてしまう。布団の中で何秒か待っても、腰の奥がじわりとした重さのまま、なかなか動き出せない。
鏡を見ると、髪が抜けている。排水口に溜まる量が増えた。肌もカサカサで、顔色に血の気がない。
周りからは「赤ちゃんかわいいでしょう」と言われる。かわいい。それは本当です。でも身体がついてこない。頭がぼんやりして、集中できない。以前は朝ごはんの段取りをしながら洗濯物も考えられていたのに、今は一つのことしか頭に入らない。あの頃の自分がどこかに行ってしまったような感覚…。
「産後だから仕方ない」と言われて、なんとなくそう思うことにしている。でも、いつまで「産後だから」で済ませていいのか、答えが見えないまま時間が過ぎていく…。
こんな朝が続いている方へ。これは根性の話でも、年齢の話でもありません。産後の身体で起きていることには、ちゃんと構造があります。 そしてその構造を知ると、どこから手をつければいいかが見えてくる。
「休めば治る」では足りない理由がある
産後の不調を相談すると、大抵こう言われます。「ゆっくり休んでくださいね」。
たしかに、休息は大事です。でも、半年休んでも疲れが取れない人がいる。一年経っても髪が戻らない人がいる。休みさえすれば元に戻る、というわけではないんですよね。
以前は「少し寝れば回復できた」と思っていた。今は、寝ても寝ても底が抜けたように疲れが残る。 この「以前と今」の違いは、気力のせいではありません。気と血の両方が根本から足りていない状態に変わっているんです。
出産は、身体にとって大きな出血を伴う出来事です。東洋医学では、血は「気」と一緒に動くと考えます。大量の血が失われると、気も一緒に抜けてしまう。まるで火が消えると煙も消えるように、血と気は一体で動いています。
寝ても回復しない疲れ。それは気力の問題ではなく、気と血の両方が不足している状態です。気血が足りないまま休んでいても、材料がなければ補充は進まない。乾いた畑に水を撒かずに「なぜ芽が出ないのか」と悩んでいるような状態、と言うと少し言い過ぎかもしれませんが、構造としてはそれに近いんですよ。
そして、もう一層深い話があります。
産後の不調の根は、筋力の低下ではなく、骨盤ポジショニングの連鎖にある。 PNFCの臨床現場では、これを何度も確認してきました。出産によって骨盤のポジションが変わる。骨盤のポジションが変われば、股関節の位置も変わる。股関節が変われば、その中にある子宮・膀胱のポジショニングも変わってくる。腰が痛い、股関節が痛い、排尿のタイミングがずれる。これらは別々の症状ではなく、骨盤ポジションの連鎖から来ているんです。
…この連鎖が、産後の不調の正体です
「休めば治る」のではなく、「骨盤のポジションを整えながら、材料を入れながら、身体が自分で作り直す環境を整える」。土台がズレたままのビルに壁の補修をしても、また亀裂が入るのと同じように、骨盤のポジションを戻さずに症状だけ抑えても、根は残り続けます。
踏み込んだ言い方になりますが、骨盤ポジションを無視したまま腹筋だけに頼っても、産後の不調の根は変わらない。現場でそれを何度も見てきたから、ここを曖昧にしておくのは不誠実だと思っています。嫌われる可能性があっても、ここははっきり言っておく必要がある。
4つが揃ったとき、身体は応える
朝7時、布団から足を出した瞬間の仙骨まわりの感触が、ある朝から変わる。 眠っていた重さではなく、薄い温かさが残っている。手をつかずに起き上がれた自分に、少し驚く。午後3時、子どもを抱き上げるとき、腰の奥が「ここまでなら大丈夫」と静かに伝えてくれるようになる。夜、お風呂から上がって仙骨に手を当てたとき、そこだけ冷えていた保冷剤のような感触が、ない。「あれ、今日は温かい」と思う朝が来る。
この感覚は、腹筋に頼っても来ません。骨盤ベルトで締めても来ません。
骨盤・股関節・腎・自律神経の4つが同時に整い始めたとき、初めて身体は応えてくる。 これが条件の全体像です。どれか一つだけ整えても、他の3つがズレたままなら動かない。構造的にそういうふうにできているんですよね。
ご自分だけで、この4つを同時に整えることは難しい
骨盤のポジションを見るには、まず現状がどこにズレているかを知る必要があります。股関節の回旋が戻っているかを確かめるには、動きの中でしか分からない。腎の消耗がどの段階にあるかは、複数のサインを重ね合わせて初めて見えてくる。自律神経の乱れが骨盤のズレから来ているのか、気血の不足から来ているのかを判断するには、見立ての順序がいる…。
ご自分で順番を組み立てるのは、けっこう心細い作業です。「本当にこれで合っているのか」と立ち止まります。続かない理由が根性ではなく、手応えを感じられないことにある場合が多い。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
- ✓入門記事だけでは物足りなくなった
- ✓連鎖の構造そのものを理解したい
- ✓自分の身体を読む地図を持ちたい
- ✓一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい
今は別の道が合う方
- —対症療法だけで、充分整っている
- —短い情報だけで答えを得たい
- —受け身で改善を待ちたい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●見えている症状の三段下に流れている、根の構造
- ●上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
- ●季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
- ●食・動き・呼吸で根に手をつける順番
- ●自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。本来の動きを思い出すことが前提であり、激しい動きは出てきません。骨盤の小さな回旋、体側の側屈、ゆっくりしたねじり。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 産後から年数が経っています。今からでも身体は変わりますか?
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年数が経っていることは、理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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