呼吸の浅さが免疫を削る構造
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
息が浅い。でも、どうすればいいかわからない
朝7時、目が覚めて、頭がまだ重くだるい。布団の中で深呼吸してみる。
胸が持ち上がって、でも途中で止まる。肺の上半分だけで呼吸が終わっている感じがする。吸い込んだ空気が、肋骨の下の方には届いていない。そのまま布団の中で10分ぐっとしている…
こんな朝が続いているなら、これは自分の話です。
呼吸が浅い自覚はある。でも、病院に行くほどでもない。
なんとなく疲れやすい。なんとなく風邪をひきやすい。なんとなく肌が乾燥する。
この「なんとなく」が積み重なって、気がつくと冬はいつも体調を崩している。
呼吸法の本を手に取って、続かなかった経験。腹式呼吸が大事ですよと言われて、やってみる。お腹を膨らませようとして、頑張って吸う。でも変わらない。
それは意志の問題じゃないんですよね。呼吸が浅くなっている構造がそのままだと、呼吸法だけ変えても入ってこないんです。
踏み込んだ言い方をすれば、「腹式呼吸をしっかりやっているのに変わらない」という方の多くは、やり方の問題ではなく、やる順番が違うんです。順番が違う状態で頑張っても、身体は応えてくれない。それをお伝えせずに「もっと続けましょう」と言うのは、不誠実になる。
深層を覚ます順番を、ご一緒に辿る
STEP 01 起こす
深層に届く呼吸を、ひとつ取り戻す
激しい運動の前に、横隔膜の動きを取り戻す。眠っていた深層筋に「これから動くよ」と合図を送る段階です。
STEP 02 ほどく
こわばっている関節を、小さく回す
大きく伸ばすのではなく、小さく回す。可動域を広げるのではなく、軸のズレを少しずつ整えていきます。
STEP 03 巡らせる
整えた身体を、自分のリズムで動かす
深層が起きて、関節がほどけたあとなら、ふだんの動きそのものが養生になります。順番を守ることが、いちばんの近道です。
起こす / ほどく / 巡らせる ── この順番が逆になると、せっかくの動きが届きません。
呼吸法の前に、やることがある
「深呼吸しましょう」「腹式呼吸を覚えましょう」。
よく言われますよね。
でも、気道が通っていない状態でいくら吸おうとしても、酸素は入ってきません。
順番が逆なんです。
まず気道を確保する。次に横隔膜を動かせる状態にする。それから呼吸法。
この順番を飛ばして呼吸法だけやっても、効果が薄い。
気道の確保には、首の根元のあたり(C7〜T1、T2あたり)を柔らかくすることがまず先。ここが硬いと、そもそも酸素の通り道が狭くなっています。
デスクワークが続くと、顎が前に出る。肩が内側に巻く。このとき首の付け根(C7〜T1)には、体重の何倍もの負荷が慢性的にかかっています。その状態が続くと、気道そのものが構造として狭まっていくんです。
PNFCの臨床で見てきた共通パターンがあります。呼吸法を熱心に続けているのに変化を感じられない方は、ほぼ例外なく、首の根元が硬いままで始めていました。気道が半分閉じた状態で吸おうとしている。これは、蛇口が絞られたまま水圧を上げようとするようなものです。
次に横隔膜。横隔膜は肋骨の内側に傘のように張り付いていて、息を吸うたびに下へ広がり、吐くたびに上へ戻ります。この傘が固まって動けなくなると、どんなに吸おうとしても、肺の下3分の2には空気が届かない。上の3分の1だけで呼吸しているのが、「呼吸が浅い」という状態の正体です。
横隔膜が固まる原因は、意外なことに「前へのお腹の膨らませ」にあることが多いんです。お腹を前に張り出すほど、横隔膜は上に逃げていく。広がるべき傘が、閉じた方向に力をかけられている。横隔膜は横へ広がるもの。前ではない。この一点が、多くの方にとっての転換点です。
…この先に、何が待っている?
酸素がちゃんと入る人は、冬でも崩れにくい
風邪をひかない人がいます。
周りがインフルエンザで倒れているのに、自分だけ平気。
そういう方に共通しているのは、呼吸が深い。背中が柔らかい。肌にツヤがある。
東洋医学で言う「肺」が元気な状態です。
肺は、気を作り出す臓器。そして皮毛(皮膚の表面)を管理する臓器でもあります。
肺が元気だと、身体の表面にバリアが張られる。外から入ってこようとするものを跳ね返す力が出てきます。
東洋医学では、肺が作り出す衛気が身体の表面を守るとされています。衛気は肺の元気さと正比例します。呼吸が深い人は衛気が充実していて、身体の表面に薄い膜が張られたような状態になっている。外から冷たい空気が入っても、その膜がワンクッションになる。
逆に、呼吸が浅い状態が続くと衛気が薄くなり、外の寒さや乾燥がそのまま肺に届いてしまう。冬に「ちょっとした寒さでやられる」方は、この衛気の薄さが関わっていることが多いです。免疫が弱いのではなく、外と内の間のクッションが薄くなっているんです。その違いが見えると、アプローチの方向が変わります。
なぜ呼吸の深さと免疫が直結するのか。その構造を、有料パートで読み解いていきます。
以前は「呼吸法をやれば肺は整う」と思っていました。でも今は、「呼吸法は最後の仕上げで、最初ではない」と見ています。気道・胸郭・横隔膜が整ったあとに、初めて呼吸法が身体に届く。これが呼吸を学んだ人ほど見落とす逆転の視点なんです。
肺気は、乾いた木の年輪のようなものです。毎年少しずつ削られて、気がついたときには表面がカサカサになっている。外から見ると変わっていないのに、中心からじわじわと潤いが失われている。それが「なんとなく」の正体です。
深い連鎖を、PNFCはこう見ている
第1層
表に現れている症状
複合的な不調 / 慢性化したサイン / 季節依存の波 / 整えても戻る / 連鎖の固定
— ここを揉んでも、しばらくすると戻ってくる
第2層
巡りと呼吸の停滞
血の流れが鈍る / 水の巡りが滞る / 呼吸が浅くなる / 自律神経の揺れ
— 第1層の症状を作り出している、ひとつ手前の流れ
第3層 / 根
五臓の循環と季節のリズム
前の季節の過ごし方 / 五臓の連鎖 / 使われ方のズレ / 深層の眠り
— ここに手がつくと、上の二層が一緒にほどけはじめる
この記事の有料パートで読めること
有料パートでは、以下の内容を順を追って読み解きます。
- 浅い呼吸から免疫低下に至る連鎖の全体像
- 肺気の低下が肌・髪・大腸にまで波及する構造
- 秋冬に風邪をひきやすくなる季節の仕組み
- 肺を潤す食材と五行の対応
- 横隔膜と胸郭を動かす「回旋」の原理
- 自分の肺気を見立てる5つのサイン
仕組みを知りたい方だけ、どうぞ。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
- ✓入門記事だけでは物足りなくなった
- ✓連鎖の構造そのものを理解したい
- ✓自分の身体を読む地図を持ちたい
- ✓一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい
今は別の道が合う方
- —対症療法だけで、充分整っている
- —短い情報だけで答えを得たい
- —受け身で改善を待ちたい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●見えている症状の三段下に流れている、根の構造
- ●上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
- ●季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
- ●食・動き・呼吸で根に手をつける順番
- ●自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. もう年齢的に、ここから変わる余地はあるのか。
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
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