イライラ・不安の根が内臓にある理由
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
この一段奥にあたる話は、別の記事でゆっくり扱っています。
≫ 深く息を吸おうとして、途中で止まっている方へ
イライラ・不安の根が内臓にある理由
理由のないイライラが、ある日ふっと来る
特に何かあったわけじゃない。仕事はいつも通り。家族に嫌なことを言われたわけでもない。なのに、なんだかイライラする。
いつもなら平気なことが、今日はなぜか腹が立つ。誰かが話しかけてきた言葉のトーンが、ちょっと気になっただけで、胸の上のほうがカーッとなる。
「なんで今日はこんなにイライラするんだろう」と思う。考えても理由が見つからない。だから自分を責める。「なんでこんなことで」と思った瞬間、自分への信用がまた一段下がっていく感じ…。
あるいは、不安。夜、布団に入ると急に将来のことが心配になる。心臓がドキドキする。寝つけない。翌朝、なんの心配もなかったことに気づく。
その感情、性格の問題ではありません。内臓の状態が、感情をつくっています。
感情は「心」だけの問題ではない
イライラしたらストレス発散。不安になったらリラックス。悲しくなったら気分転換。現代の対処法は、ほとんどが「心」へのアプローチです。
カウンセリング、アロマ、瞑想。どれも悪くはない。でも、同じ感情の波が繰り返しやってくるなら、心だけ見ていても解決しないことがあります。
東洋医学には「七情」という考え方があります。怒・喜・思・悲・恐・驚・憂。これらの感情はそれぞれ、特定の内臓と結びついている。
肝は怒り。心は喜び。脾は思い悩み。肺は悲しみ。腎は恐れ。
これは比喩ではありません。肝が弱ると、理由もなくイライラする。腎が冷えると、漠然とした不安が湧いてくる。内臓の状態が感情を生んでいる。
もう少し詳しく見てみます。肝は「疏泄(そせつ)」という働きを持っています。気の流れを全身にスムーズに通す力です。春に木が芽吹くように、肝は気を上へ推し上げる性質がある。この働きが滞ると、気が詰まってイライラする。行き場のない怒りが、胸の上の方でカーッとなる。それが「肝の気が暴走している」状態です。
腎は「精(せい)」を蓄える場所です。生命エネルギーの貯蔵庫とも言える内臓で、冬に大地が水を蓄えるように、腎は身体の根の力を保持している。腎が冷えて弱ると、この根の力が不安定になる。夜になると急に将来のことが心配になるのは、腎の気が底をついてきているサインです。深い井戸の水が少なくなったとき、ちょっとした揺れで底が見える。腎が弱ったときの「恐」の感情は、そういう感覚に近いんです。
つまり、感情に振り回されているとき、問題は「心が弱い」のではなく、対応する内臓が疲れている。順番が逆なんです。感情が先にあって内臓が疲れるのではなく、内臓が疲れたから感情が出てくる。
…どこから断ち切るか?
内臓が整うと、感情が穏やかになる
朝7時、布団から足を出した瞬間、胸に重さがない。会議で誰かに反対意見を言われても、腹の底が温かいまま受け止められる。夜11時、布団に入った瞬間に心臓のドキドキがすっと収まる。
「あれ、最近怒りっぽくなくなったね」と家族に言われる。自分では気がついていなかった。ただ、以前なら腸が立っていた場面で、今は「まあいいか」と思えている。
これは性格が変わったのではなく、内臓の状態が変わったから感情が安定したんです。肝が柔らかくなると、怒りの閾値が上がる。腎があたたかくなると、不安の底が浅くなる。
感情をコントロールしようとするのではなく、感情が湧きにくい身体に戻す。この発想の転換が、五臓と感情の関係を知ることで見えてきます。
PNFCの臨床現場で長年見てきて分かることは、感情が安定していく方には一つの共通点があります。それは、ご自分の感情を「敵」として見ることをやめたとき、です。イライラを抑えようとするのではなく、「今、肝が疲れているんだな」と読む。不安を消そうとするのではなく、「腎が冷えているサインだな」と受け取る。感情が内臓の声だと分かると、感情との付き合い方が静かに変わります。
ただし、三つの条件が同時に揃わなければ動かない
ここで少し立ち止まって、整理したいことがあります。感情が内臓から来ているとわかっても、闇雲に「じゃあ食事を変えよう」「運動しよう」では、連鎖には手が届きません。
PNFCの臨床現場で繰り返し確認してきた条件が三つあります。ご自分の五臓のどれが疲れているかを読む見立ての軸、今の季節と五臓のリズムの一致、食×動き×呼吸の正しい順序。この三つが同時に揃ったとき、初めて感情の連鎖に手がつけられます。
一つだけ知っていても、二つでも、構造的にかなり難しいんですよね。見立てがなければ、何の食材も「なんとなく良さそう」で終わる。季節との一致がなければ、整えたいものと逆方向の刺激を入れることになる。心細い作業を一人で組み立て続けることになります。
たとえば、春にイライラしやすい方が「肝を整えたい」と思って、冬用の腎を温める食材を続けていた、という場面がPNFCの現場でも見られます。方向は正しくても、季節とのズレが連鎖を止める。あるいは、正しい食材を選んでいても、呼吸が浅いまま動きだけ増やしていては、内臓への刺激が届かない。
感情の連鎖に手をつけるとは、どの内臓から、今の季節に、どの順序で整えるかという三軸を同時に使う作業です。地図と現在地と歩く順番、この三つが揃って初めて目的地への道が開きます。
この記事の有料パートで読めること
有料パートでは、五臓と感情の対応を以下の流れで読み解いていきます。
- 肝=怒、心=喜、脾=思、肺=悲、腎=恐。それぞれの連鎖メカニズム
- 一つの内臓の乱れが、感情・身体・美容にどう波及するか
- 季節ごとに出やすい感情と、その理由
- 感情の波を穏やかにする食養プロトコル
- 内臓を動かす回旋の原理
- 自分の感情パターンから内臓の状態を読むセルフ見立て
イライラ・不安の根が内臓にある理由
「理由のないイライラ」の正体を知りたい方に。感情と内臓の結びつきが見えてきます。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
- ✓入門記事だけでは物足りなくなった
- ✓連鎖の構造そのものを理解したい
- ✓自分の身体を読む地図を持ちたい
- ✓一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい
今は別の道が合う方
- —対症療法だけで、充分整っている
- —短い情報だけで答えを得たい
- —受け身で改善を待ちたい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●見えている症状の三段下に流れている、根の構造
- ●上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
- ●季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
- ●食・動き・呼吸で根に手をつける順番
- ●自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 年齢を重ねてから始めても、身体は変わりますか?
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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