加工食品が脳の気を枯渇させる
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
この一段奥にあたる話は、別の記事でゆっくり扱っています。
≫ 季節の変わり目、なんとなく調子が狂いませんか?
加工食品が脳の気を枯渇させる
やめたいのに、手が伸びる
仕事が一区切りつく午後3時。デスクの引き出しを開けて、チョコレートを一つ取り出す。ああ、甘い。もう一つ。もう一つだけ。気がつくと袋が空になっている。
「今日はやめとこう」と思っていたのに。昨日も同じことをした。
夕食後もそうです。テレビを見ながらポテトチップスに手が伸びる。お腹は空いていない。でも口が何かを求めている。食べ終わった後、少し罪悪感がある。
「意志が弱いんだな」と自分を責める。でも、それは本当に意志の問題なのか。
思い返してみると、甘いものに手が伸びる時間帯は、大体決まっていることに気づく方が多いんです。仕事が山積みになった午後2時すぎ。会議が続いた後。子供の宿題を見終わった夜。そういう「脳が使い切られた」タイミングに、引き寄せられるように手が動く。
これは偶然ではありません。脳が疲れると、最も手っ取り早いエネルギー源を求める。砂糖はその筆頭です。「食べたい」という欲求の前に、身体の中でちゃんと理由がある。その理由を知らないまま「やめよう」と決めても、翌日また同じ袋を開けてしまう。その繰り返しで「自分の意志は弱い」という思い込みが固まっていくんです。
PNFCの臨床現場でも、「食が乱れている」と相談に来る方の多くが、まず自分を責めている状態で来られます。月間200名以上を診る現場で、「意志が弱くてやめられない」という方を、意志の問題として見たことは一度もありません。必ず身体の中に、構造的な入り口があるんです。
「甘いものが欲しい」という感覚の背景に、「脾が疲れている」「脳が気切れを起こしている」という状態がある。この見立てが先にあると、取るべき行動が変わります。「やめよう」ではなく「脾に何を届けようか」。問いかけの方向が変わるだけで、身体との付き合い方がずいぶん違ってきます。
加工食品に手が伸びてしまうのには、身体の中に構造的な理由があります。意志力の話ではないんです。
「食べすぎ」ではなく「脳が枯渇している」
加工食品を食べすぎる人に対して、世間は「自己管理の問題」と片づけます。カロリー計算をしましょう。意識を変えましょう。
でも、PNFCの視点では、この問題の入り口はまったく違います。
脳は身体の中で最もエネルギーを消費する臓器です。PNFCの臨床現場では、「体より脳のほうが疲れる」という見方をします。脳が疲れると、手っ取り早いエネルギーを求める。それが甘いもの。
でも、加工食品の砂糖や油脂は、脾胃に大きな負担をかけます。脾は消化を担う臓。脾が疲れると、食べたものから「気」を作る効率が落ちる。気が作れないから、脳がもっとエネルギーを欲しがる。
…意志の問題? それとも構造の問題?
「やめる」のではなく「脳が枯渇している原因を断つ」。この発想の転換が入り口です。
踏み込んだ言い方をすれば、「甘いものがやめられない人は意志が弱い」という見方は、問題の入り口を間違えていると考えます。嫌われる言い方だと承知しています。ただ、構造が見えないまま「意志で止める」ことを求めるほうが不誠実だと感じる。だからここははっきり言います。
脾が疲れるとはどういう状態か。食後に強烈な眠気が来る。食べているのに身体が重い。便が緩くなる。口の周りが乾きやすい。唇の色が白っぽくなる。これらはすべて、脾の消耗が身体の表面に出てきたサインです。食事の量や種類を変える前に、まず脾の状態が見えているかどうか。そこが出発点として重要なんです。
「食べすぎ」という言葉が生む誤解は深い。食べている量が多いのではなく、食べたものが気に変換されていない。入力量の問題ではなく、変換効率の問題です。脾が消耗した状態でどれだけ量を減らしても、気は増えない。むしろ脳がさらに強くエネルギーを求めて、甘いものへの欲求が強まる。「頑張ってやめたのに余計食べてしまった」というパターンは、この構造が背景にあることが多いんです。
脾が回復してきたとき、身体の朝がどう変わるか。布団の中で「もう少し」と思う朝から、「動いてもいいかな」と感じる朝へ。デスクに着いて一時間、集中が切れずに仕事が進む午前。引き出しに手が伸びそうになって、「今日はいいか」と思って閉じる午後3時。この三つの変化が順番に来るとき、脾の気が戻ってきた実感として現れます。それはまだ先のことですが、構造がわかれば、歩く方向が見えてきます。
「意志で止める」より先に、「脾を整える」を優先する。それがPNFCの食養生における基本的な順序です。まず構造を知ることから、変化は始まります。
脾が整うとはどういうことか。食べたものを効率よく気と血に変換できる状態になること。脳に安定したエネルギーが届くようになること。甘いものへの衝動が「欲求」ではなく「選択」に変わること。この変化は、腸の状態や睡眠の質、朝の目覚めの感覚として先に現れてきます。体重や外見より先に、ご自身の内側の感覚が変わります。その感覚の変化を確かめながら進む。それが、長く続く方法です。
加工食品を減らしたいと思いつつ、なかなか一歩が踏み出せない方へ。構造を知ってから始めるのと、知らないまま努力を重ねるのとでは、消耗の仕方がまったく違います。ご自身の身体の状態を、まず知ることから始めてください。
ここから先の本文では、脾・気・血の連鎖をさらに深く辿ります。季節ごとの見立て方、脾の消耗段階ごとの読み方、気の三種(宗気・営気・衛気)の具体的な見え方。そして、ご自分で状態を読む地図の組み立て方。一人で取り組もうとして立ち止まる場所の多くは、このあとの本文に答えがあります。読み進めながら、ご自身の身体のどこに当てはまるか、そっと確かめてみてください。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
- ✓入門記事だけでは物足りなくなった
- ✓連鎖の構造そのものを理解したい
- ✓自分の身体を読む地図を持ちたい
- ✓一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい
今は別の道が合う方
- —対症療法だけで、充分整っている
- —短い情報だけで答えを得たい
- —受け身で改善を待ちたい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●見えている症状の三段下に流れている、根の構造
- ●上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
- ●季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
- ●食・動き・呼吸で根に手をつける順番
- ●自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 50代・60代でも、身体は応えてくれますか?
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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