自律神経の乱れが消化を止める仕組み
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
食べてるのに、胃が動いていない感じがする
朝、食卓に座って味噌汁を飲んだ。
でもお腹が重い…
食欲がないわけじゃない。食べられる。でも食べたあと、みぞおちのあたりがずっともたれている。
昼になっても、まだ朝のものが残っている感覚。
毎年この時期になると同じ…
また今年もか、という静かな諦めと一緒に、胃腸薬を手に取る。
PNFCの臨床現場でも、消化の重さ・食後のだるさを抱えている方は本当に多いんです…
月間200名以上の施術のなかで、胃腸薬を常備している方、食後に横になってしまう方、甘いものが止まらない方、
ほかにも梅雨のたびに食が落ちる方、夕食後の重さが翌朝まで残る方など。
そして病院で検査しても、「異常なし」と言われる。
じゃあ何なのか。自分でもよくわからない。
ストレスのせいかな、と思っている方も多いと思います。
それ、半分は当たっています。
でも「ストレス」という言葉だけでは、身体の中で何が起きているのか見えてこないですよね。
胃腸薬で戻らない理由
胃がもたれる。だから胃腸薬を飲む。
まあ、普通の対処ですよね。
でも、飲んでも一時的にしか楽にならない。
また次の日、同じもたれ感が戻ってくる。
なぜ戻るのか。
胃そのものが悪いわけではないんです。
胃を「動かす指令」が届いていない。そっちが先なんですよね。
胃や腸は自律神経の支配を受けています。副交感神経が優位になると消化が進み、交感神経が優位になると消化は止まる。
つまり、ストレスや緊張が続いて交感神経がずっと優位のままだと、胃はいくら食べ物を入れても動いてくれない。
順番が違うんです。
胃そのものをどうにかしようとせず、まず自律神経のバランスを整えないと、消化は戻ってこない。
…本当にこれだけ?
消化が止まっているのは、胃ではなく上流にある
以前は「胃の問題」として見ていたことが、今は胃の上流にある自律神経と背骨の問題として見ています。
水道のパイプが詰まっているのに、蛇口だけを交換し続けているような状態です。
胃腸薬という「蛇口」を替えても、上流のパイプ(自律神経と背骨)が詰まったままでは、水は流れてこない。
PNFCの臨床現場で、背中が柔らかい方ほど消化が速いという傾向があります。特に、肩甲骨の間あたりがよく動く方。
逆に、猫背のまま長時間仕事をしている方ほど、食後の重さが長く残るんです。
背骨の硬さと消化の重さは、偶然の一致ではありません。
背骨の中を脊髄が通っていて、そこから自律神経が全身に分岐している。背骨が硬くなると、その信号の通り道が圧迫される。そうすると副交感神経の出力が弱まり、消化への「許可」が出なくなるんです。
なぜ頑張っても繰り返すのか
消化を整えるために、消化の良いものを食べる。胃腸薬を飲む。プロバイオティクスを取る。
どれも間違っていないんです。
でも、毎年同じ時期に同じ不調が来る。
頑張って食事に気をつけても、また翌日には重さが戻ってくる。
なぜか。
消化を止めている原因は、交感神経の張り・横隔膜の硬さ・腎の温度低下、この三つが同時に揃っています。
一つだけを触っても、残り二つが残ったままでは元に戻る。
ご自分で三つを同時に観察しながら整えるのは、構造的にかなり難しい作業です。自律神経の状態を自覚しながら、横隔膜の動きを変え、同時に腎の温度を確認する。
この三点を並行してモニタリングする方法が、ご自分だけではないんです。
「これで合っているのか」と立ち止まる感覚。ご自分で試してみたことがある方ならわかると思います。
その心細さは本物で、構造上の必然です。
消化が整うと、朝が変わる
朝7時に布団から起き上がったとき、お腹がすっきり軽い…
そのままコーヒーではなく、温かいものが自然と欲しくなる感覚。
午後3時を過ぎても、食後のだるさが来ない。
甘いものへの衝動がない。それだけ、気血が補われているということなんです。
夜、夕食のあとに胃の重さが残らない。
お腹が落ち着いたまま眠れる。翌朝の胃の出発が、昨日と違う。
PNFCの臨床現場で、食後の重さが長期間続いていた方が「今朝、胃が軽かった」と静かに話す瞬間があります。薬が効いたわけでも、食事を変えただけでもない。連鎖して出てきた変化です。
甘いものへの衝動がなくなる、というのはどういう状態か。脾が弱ると甘みを渇望することが東洋医学では知られています。これは砂糖が欲しいのではなく、脾が気を作れなくなったときの身体のSOSなんです。
上流が整って副交感神経が優位になると、脾が動き始め、気血が補われる。そうすると甘いものへの衝動は自然と静かになっていく。外から意志で「食べない」のではなく、欲しくなくなる。この違いは、身体が変わっていることのわかりやすいサインです。
眠りの変化も、消化が整ったときに静かに出てくる変化のひとつです。
夜中の2〜3時に目が覚める方がいます。東洋医学でこの時間帯は脾から心へ気が受け渡される刻とされています。脾胃の停滞が深くなると、この受け渡しがうまくいかなくなって眠りが浅くなる。消化が整い始めると、この夜中の目覚めが少しずつ消えていく方がいる。それが「連鎖して出てきた変化」ということです。
踏み込んだ言い方ですが、言い切ります。もちろん全員に同じ速度を約束するものではありません。
胃腸を直接触らずに消化が変わる。それが「上流を整える」ということです。
ご自身の身体の状態によって、変化の出方は違います。ただ、上流を整えない限り、毎年同じ連鎖が来ます。
ここに書いたことで全部わかったとはなりません。ご自身の身体は、この記事よりずっと複雑に動いています。
ただ、構造が見えてくると、手のつけ方が変わるんです。
深い連鎖を、PNFCはこう見ている
第1層
表に現れている症状
複合的な不調 / 慢性化したサイン / 季節依存の波 / 整えても戻る / 連鎖の固定
— ここを揉んでも、しばらくすると戻ってくる
第2層
巡りと呼吸の停滞
血の流れが鈍る / 水の巡りが滞る / 呼吸が浅くなる / 自律神経の揺れ
— 第1層の症状を作り出している、ひとつ手前の流れ
第3層 / 根
五臓の循環と季節のリズム
前の季節の過ごし方 / 五臓の連鎖 / 使われ方のズレ / 深層の眠り
— ここに手がつくと、上の二層が一緒にほどけはじめる
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
- ✓入門記事だけでは物足りなくなった
- ✓連鎖の構造そのものを理解したい
- ✓自分の身体を読む地図を持ちたい
- ✓一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい
今は別の道が合う方
- —対症療法だけで、充分整っている
- —短い情報だけで答えを得たい
- —受け身で改善を待ちたい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●見えている症状の三段下に流れている、根の構造
- ●上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
- ●季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
- ●食・動き・呼吸で根に手をつける順番
- ●自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 年齢的に、身体が立て直しに時間がかかりすぎませんか?
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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