痛みが移動する人の身体で起きていること
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、力で押さえつけるのではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
この一段奥にあたる話は、別の記事でゆっくり扱っています。
≫ 朝、腰に手を当てて起き上がる日が増えていませんか
痛みが移動する人の身体で起きていること
先週は肩だったのに、今週は膝
朝7時、目が覚めて起き上がろうとしたとき、また今日もどこかが重い。布団の中でしばらく身体の状態を確認する。昨日痛かった右肩は少し落ち着いている。でも今度は左の膝が鈍く重い。「膝なんて、いつ傷めたっけ」と思い返しても、心当たりがない…。そういう朝を、長い間繰り返してきた方がいます。こんな朝が続いている方には、これが自分の話として届く記事です。
先週、右の肩が痛くて整形外科に行った。レントゲンを撮って「特に異常はないですね」と言われた。湿布をもらって、二日で楽になった。
ほっとしたのも束の間、今度は左の膝が痛み出す。
またしばらくすると膝は収まって、今度は腰に違和感が出てくる。あっちが痛い、こっちが痛い。場所が変わるたびに、別の病院に行く。別の薬をもらう。でも、根本的に何が起きているのかは、なかなか語られない。
一年中どこかが痛い。痛い場所が定まらない。そういう人の身体の中で、ある共通した流れが起きています。
整形外科のレントゲンには何も映らない。「年齢のせいですよ」と言われる。マッサージを受けた翌朝は楽だったのに、三日後には別の場所が痛む。このとき増えていくのは、痛みの数だけではありません。自分の身体への信用が、静かに削れていく…。そういう感覚を抱えて来られる方が、PNFCの現場では少なくありません。
「これは体質だから仕方ない」と半分諦めていた。でも何十年も同じ状態が続くとき、体質という言葉は、根本を見ていないときに使われる言葉です。痛みが移動するのは体質ではありません。気の流れが変動しているからです。PNFCの臨床現場で30年以上、月間200名以上の方の身体に触れながら、同じことを確認してきました。痛みが移動する人には、移動する理由があります。
痛みは「壊れた場所」のサインではない
痛い場所に問題がある。普通はそう考えます。肩が痛ければ肩が悪い。膝が痛ければ膝が悪い。
以前、PNFCでも「痛い場所に触れる」ことを主軸にした時期がありました。でも、その方法では変化が続かなかった。痛みは一時的に消えても、二週間後に別の場所で戻ってくる。それを繰り返す中で、「痛い場所を追いかけているかぎり、この人の流れは変わらない」という確信に変わっていきました。以前は「痛い場所が問題」と見ていた。今は「流れの変動が問題」と読んでいます。見方の向きが変わったとき、対処の順番も変わります。
でも、痛みが移動するということは、壊れている場所があるわけではないということです。もし膝の関節そのものが壊れていたら、痛みは膝に留まります。移動しません。
痛みが移動するのは、流れの問題です。壊れた場所の問題ではありません。
東洋医学では、気の流れが滞った場所に痛みが出ると考えます。そして気の流れは一定ではない。季節や天気、ストレス、睡眠の質によって変わります。
整骨院で「運動してますか?」と聞かれる。答えに詰まる。でも運動不足が原因ではなく、気の流れが変わるたびに、滞る場所が変わっている。だから痛みも移動する…。それが30年の現場で繰り返し見てきた構造です。
…痛みが「移動」して見える
痛い場所を追いかけて対処するのは、モグラ叩きと同じです。順番が逆で、流れの方から見ないと解けない。
ここは少し言い切りすぎだろうと自覚しています、それでも書いておきます。痛みが移動するのは、身体が地図を書き換えようとしているサインです。壊れているのではなく、古い流れのパターンを修正しようとしている。その修正の信号が、場所を変えながら届いている…。そう受け取り直すと、痛みへの向き合い方が変わります。
「一年中どこか痛い、調子が悪い。痛いところがずっとある方は、五感が狂っている」。これは養生の部屋でよく話されてきた言葉です。五感のバランスが乱れているということは、五臓のバランスが崩れているということ。痛みはその乱れが外に滲み出た表現です。
逆に言えば、季節の変わり目だけ少しだるいとか、春先に目の調子が悪いとか、その程度で済んでいる方は「正常な反応」です。五臓のバランスがある程度保たれていて、季節の変化に応答できている証拠です。問題は、一年中どこかが痛くて、季節と関係なく痛みが出続ける状態のほうにあります。
痛みが止まった人の感覚
気の流れが整ってくると、まず痛みの「移動」が止まります。あっちこっち飛んでいた痛みが、一箇所に落ち着いてくる。
不思議なことに、一箇所に落ち着いた方が対処しやすい。どこが本当の問題なのかが見えてくるからです。
さらに流れが良くなると、痛みそのものが軽くなっていきます。朝6時、布団の中で起き上がろうとしたとき、「あれ、今日はどこも重くない」という感覚が届く。指先も、膝も、腰も、軽い。それを確かめるように手を握ってみると、こわばりがない。そういう朝が、少しずつ増えていくんです。
天気予報を見て、「明日は雨だから身体が辛いだろうな」と身構えていたのが、雨の日でもそれほど変わらなくなる。
気の流れが整ってきた方々が口をそろえて言うのは、「雨の前日が怖くなくなった」という言葉です。天気が変わる前日に関節が痛む。それが当たり前になっていた。でも気の流れが落ち着くと、その予報機能が静かになってくるんです。
ただし、ここは正直に言います。踏み込んだ言い方になりますが、肝気の流れを自分一人でコントロールするのは、構造的にかなり難しい。気の流れを整えるには、流れの入口の場所・触れる順序・身体の応え方を同時に見る必要があります。この三つが揃わないと、流れは変わりません。一つでも欠けると、同じ場所でつまずき続けます。
心細い、と感じる方もいます。「また自分でやることがあるのか」と思う方もいます。でも、順番さえ分かれば、実際に動くのはご自分の身体です。PNFCはその順番を、30年以上かけて臨床で確かめてきました。
もっとも、「全部が整う」という言い方はしません。全員にそうなると約束することは、正直ではないからです。ただ、痛みが移動しなくなるという変化は、流れを整えた先に確かに起きてきます。どこまで変わるかは、ご自身の身体との対話の中で見えてくることです。
ではなぜ、痛みが移動するのか。その背景には何があるのか。この記事の有料パートで、流れの構造を一緒に辿ります。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
- ✓入門記事だけでは物足りなくなった
- ✓連鎖の構造そのものを理解したい
- ✓自分の身体を読む地図を持ちたい
- ✓一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい
今は別の道が合う方
- —対症療法だけで、充分整っている
- —短い情報だけで答えを得たい
- —受け身で改善を待ちたい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●見えている症状の三段下に流れている、根の構造
- ●上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
- ●季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
- ●食・動き・呼吸で根に手をつける順番
- ●自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。力で押さえつけることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 年齢を重ねてから始めても、変化はあるのでしょうか?
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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