冷えと腰痛の連鎖を読み解く
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
01 / 共感
冬の朝、布団から出るときの少しの重さ
朝、目覚まし時計が鳴って布団の外にそっと足を出すと、床のひんやりした感触が、かかとからふくらはぎ、腰のあたりへとゆっくり登ってくるように伝わります。立ち上がろうとした一瞬、腰のあたりにいつもの重さがあり、自分でも気づかぬうちに「よいしょ」と声が漏れてしまうのです。
洗面台で水を出し、顔にあてるまでのあいだ、足先の冷たさと腰のこわばりは、いつもひと組のように一緒にやってきます。今年もまた、この季節が来た。
冷えには靴下を一枚足し、腰には湿布を貼り、それぞれを別の引き出しから取り出して別々に手当てしてきました。整形外科では「もうお年ですから」と言われ、内科では「冷えはご体質ですから」と返される。どちらも嘘ではありません。けれども、その言葉でぴたりと話が終わってしまう。そこから先に進めない方を、PNFCは現場で何度も見てきました。
ここで一度、立ち止まります。冷え性の方に腰痛をお持ちの方が多い。これはよく知られた事実です。それなのに、この二つがなぜ同じ時期にそろって強くなるのかは、ほとんど深く掘り下げられてきませんでした。PNFCは、これを偶然とは考えていません。
PNFCがもともと持っていた見方も、最初から完成していたわけではありません。以前は別々に見ていましたが、今では一本の連鎖として見ています。腎の経絡と腰まわりの血流の関係を積み重ねていくうちに、二つの症状が実は連鎖の上流と下流だという景色が見えてきた。30年以上の現場が、この見方を変えていったんです。
POINT
冷えと腰痛は、決して別々の不調ではありません。同じ根のところで、ひとつの連鎖としてつながっています。
02 / 常識の転覆
腰を揉んでも三日で戻ってくる、その理由
腰が痛くなると、まず腰そのものを揉みたくなるものです。マッサージで強めにほぐしてもらうと、その帰り道には「ああ、軽くなった」と感じることもあります。けれども不思議なことに、三日ほど経つとまた同じ場所がしくしくと痛みはじめます。
「あの揉み返しのときの心地よさは、いったい何だったのだろう」と思いながら、それでもまた予約を入れてしまう。この繰り返しに心当たりのある方は、決して少なくありません。
腰そのものは「犯人」ではありません。お尻や股関節の深いところがすでに硬くなっていて、そのしわ寄せが集まってくる場所として、腰がたまたま選ばれているだけにすぎない。被害者をいくら揉んだところで、上流にいる本当の犯人が動き出さないかぎり、しばらくするとまた同じところに、同じかたちで被害が現れてしまうんです。
PNFCはもともと、PNF(神経筋促通法)という神経と筋の連携を読み解く理論を基盤に立ち上がりました。だから施術の最初の段階から、腰の痛みを腰だけで見ることはありません。お尻、股関節、足の使われ方までをひと続きの連鎖として読み、被害者を揉むのではなく上流の動きを起こす、という見方を持っていました。そこに東洋医学の陰陽五行を組み合わせていく過程で、さらに深い景色が立ち上がってきます。神経と筋の連鎖の上流をたどると、季節と臓のリズムへとつながっていく。30年以上の臨床と月間200名以上の現場の積み重ねが、この景色を描き出してきました。
PRINCIPLE
腰は被害者である。犯人は上流にいる。
では、その犯人は誰か。お尻や股関節が硬くなる、そのもうひとつ手前にあるものは何か。連鎖を上流へとたどっていくと、行き着く先は「冷え」です。それも、ただ表面が寒い冷えではなく、身体の奥のほうで静かに進んでいる冷えです。
よくある説明
…本当にこれだけ?
東洋医学では、腎は古くから「腰の臓」と呼ばれてきました。腎の働きが落ちて深部から冷えていくと、腰まわりの血の巡りもしだいに細くなっていきます。血の通わない筋肉はやがて硬くなり、その硬さが腰の骨を内側からじわじわと引っ張りはじめるのです。
腰を揉んでもなかなかすっきりとしない本当の理由は、ここにあります。連鎖の上流にある冷えに、まだひとつも手がついていないからです。
03 / 理想の匂わせ
根がほどけたとき、身体はこう変わる
朝目覚めて布団を離れるとき、床はやはりひんやりとしています。それなのに、腰のほうが軽い。「よいしょ」と声を出さずに、すっと立ち上がれる朝。そういう朝の感触を、ご自身の身体で感じていただける日が来ます。
デスクワークで三時間座りっぱなしでいたあとも、立ち上がるときに腰へ手を当てて支える必要がない。午後3時、パソコンの画面を閉じて立ち上がる瞬間の、あのお尻から腰にかけてのつっぱりが消えていく。足先はまだ少し冷たいけれど、靴下を1枚減らしても足りると、ふと気がつきます。引き出しを見ると、いつも重ねていた厚手の靴下が、一枚分だけ余っているのです。
夜布団に入るとき、仙骨のあたりに手を当てると温かい。手のひらと同じくらいの温度に戻っている。そういう変化を、ご自身の手のひらで確かめていただける日が来ます。布団に入ってすぐ眠れるようになる。夜中のトイレが減っていく。冷えと腰痛と一緒に来ていた周辺の不具合が、ひとつずつ静かにほどけていく。それがこの連鎖を上流から整えていくときの景色です。
冷えと腰痛が、同じ根のところでつながっているのだとしたら。その根のひとところが変わるだけで、上流と下流の両方が同時に動き出します。これまで別々の引き出しから取り出して別々に手当てしてきた二つの不調が、ひとつの整え方を通してゆっくりとほどけはじめる。
ただしこの整え方は、これまでの「腰を揉む」のとも、「足を温める」のとも、すこしだけ順番が違います。連鎖の上流から手をつけないかぎり、表面の心地よさだけで終わってしまうからです。どこからどう手をつければよいのか。連鎖の構造そのものが見えてくると、やるべきことが、むりなく自然に決まってきます。
少し踏み込んだことを言います。全員が同じ速さでほどけるとは、申しません。冬をひとつ越えただけで変化を感じる方もいれば、季節をふたつ越えて、ようやく身体の声が変わる方もいます。地域によって、年代によって、ほどけ方の景色は確かに違う。それでも、上流から手をつけるという順番そのものは、現場で例外を見たことがありません。これはPNFCが30年以上の臨床と月間200名以上の現場で、繰り返し確かめてきた事実です。
PNFCは「鍛える」のではなく「本来の機能を取り戻す」コンディショニング法です。東洋医学・神経科学・運動力学を統合し、不調を「使われ方のズレ」として読み解いていきます。冷えと腰痛の連鎖も、その「読み解き」のひとつの実例にすぎません。
上流から手をつけるという順番の正しさだけは言い切れます。もちろん全員に同じ速さで当てはまるわけではありません。個人差もあります。ただ、順番そのものは現場で例外を見たことがない。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
- ✓入門記事だけでは物足りなくなった
- ✓連鎖の構造そのものを理解したい
- ✓自分の身体を読む地図を持ちたい
- ✓一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい
今は別の道が合う方
- —対症療法だけで、充分整っている
- —短い情報だけで答えを得たい
- —受け身で改善を待ちたい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●見えている症状の三段下に流れている、根の構造
- ●上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
- ●季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
- ●食・動き・呼吸で根に手をつける順番
- ●自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 年齢を重ねてからでも、間に合いますか
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
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連鎖解読/複数症状を一本の流れで繋ぐ
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