春の養生 完全ガイド
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
春の養生 完全ガイド
毎年3月に、決まって身体が重くなる方へ
3月に入って暖かくなってきた。コートを一枚薄くした。でも身体がだるい。朝7時、布団の中でも重くて、目覚ましを止めてから起き上がるまでに時間がかかる。「今日も同じだ」という感覚が先に来る。
膝がこわばる。指の関節が硬い。些細なことでイライラする。普段なら気にしないことで腹が立つ。「なんで春なのにこんなに調子悪いんだろう」と思いながら、とりあえず花粉の薬を飲む。
毎年、同じ時期に、同じ場所が崩れる。
これが、30年以上の現場で繰り返し見てきた春の不調のパターンです。
花粉のせいだと思ってきた。加齢のせいだと思ってきた。体質だから仕方ないと諦めてきた。でも毎年同じ時期に同じ不調が出るとすれば、それは花粉でも加齢でも体質の問題ではありません。季節と身体のあいだに、構造的な理由があると考えた方が筋が通ります。
月間200名以上の施術の中で、春になると古傷が出る、毎年3月に関節が痛み出す、ということを繰り返し見てきました。その根は、花粉でも体質でもなく、肝と春の連鎖です。
正直に言うと、全員に当てはまるとは申しません。ただ、毎年同じ時期に同じ不調が繰り返される方には、かなりの確率でこの連鎖が見えてきます。体質だから仕方ない、と諦めてきた方ほど、連鎖を知ったときの手応えが大きい。
間違いなくこの連鎖は実在するが、もちろんそれが全てのわけではない。個人差があることは前提として、毎年同じパターンで不調が出る方には、まず当てはまると見ています。
ここで少し正直に言うと。春の不調を「肝の話」で説明しようとすると、「それって本当?」と疑われることがある。無理もないと思います。毎年3月に身体が重くなる、その本当の理由が「肝臓と季節のつながり」にあると言われても、ピンとこないのは当然です。
ただ、30年以上の現場で見てきた事実として、冬に腎の蓄えが足りなかった年の翌春は、肝の症状が重い。これは、個人の体質の問題ではなく、季節をまたいだ身体の連鎖として繰り返し現れます。
春の不調は、肝の使われ方のズレから起きる
ここで少し気になっていることがあります。春の不調を「花粉のせい」で片付けてしまう、その整理の仕方そのものに、見落とされている層があるという点を、正直に言っておきたい。
五行の考え方では、春は「木」の季節であり、肝の季節です。
木=春=肝。春になると肝の働きが活発になり、冬のあいだ蓄えていたエネルギーが動き出します。
肝は血の巡りを管理し、気の流れを整え、感情をコントロールする臓器です。肝が元気なら、春は身体も気分も軽くなる。でも肝が弱っていたり、冬のあいだの腎の蓄えが足りなかったりすると、肝がうまく動き出せない。
そのとき何が起きるか。肝は「筋」を主るので、肝の働きが鈍ると腱が硬くなり、関節をまたぐところに痛みが出る。肝は「目」に通じるから、目がかすんだり疲れやすくなる。肝の感情は「怒」だから、イライラしやすくなる。
春 = 木 = 肝
筋・腱
目
怒
酸味
関節痛、目の疲れ、イライラ。春の三大不調は、全部肝とつながっています。個別に対処しても、上流の肝が整わなければ戻ってきます。
そして、ここが一番大事なところです。肝は、冬の腎の蓄えによって動き出す。だから春の不調の根は、春ではなく冬にある。春になってから肝だけを何とかしようとしても、届かない理由がここにあります。
なぜ、自分でやろうとするとうまくいかないのか
「春の不調があるなら、春に肝を整えればいい」と考えるのは自然な発想です。でも、現場を30年以上見てきて、これが機能しないケースを何度も見てきました。
理由は3つあります。
条件1:冬の腎の状態が、春の肝を決める
腎は「水」で、木(肝)を育てる関係にあります。冬に腎が消耗していると、春に肝を動かす燃料が不足する。春だけを整えようとしても、冬の蓄えが足りなければ届きません。
条件2:肝気・血・筋の三つが同時に整わないと動かない
肝の養生には、気の流れ・血の充足・筋への供給の三つが同時に噛み合う必要があります。食養だけ、動きだけ、休養だけでは、片方が補われるあいだに別の柱が崩れる。三つを順番に整える見立てが必要です。
条件3:自分の連鎖の段階が分からなければ、入口が違う
春の不調には、「肝気の滞り型」「肝血の不足型」「腎の消耗が先行している型」など、状態によって異なる段階があります。どの段階からアプローチするかは、自分の身体の連鎖を読み解かないと判断できません。
この3つが同時に揃わなければ、春の肝の養生は動かない。
ご自身で3つを全部揃えながら進むのは、構造上かなり難しい作業です。
春を、ただ耐えるのではなく整えるとしたら
3月の朝7時、目を覚ましたとき膝の重さがなく、布団から足を出しても足先が冷たくない。起き上がって鏡を見ると、顔色がいつもと違う。
午後、パソコンの画面を見ていても、目が霞まない。夕方になっても、いつもあるだるさが来ない。
この感覚の変化は、劇的なものではありません。ただ、「あ、今日は調子が違う」と気づく瞬間として、静かに現れます。
30年以上の現場で、春の連鎖を見立て直してから、「今年は春が違う」と静かに言われる方が、繰り返し現れます。連鎖の入口がどこにあるかを読み、そこから順番に整えていった結果として、その言葉が出てくるんですよね。
どこから入るかは、身体の状態を読まないと分かりません。入口を間違えると、どんなに丁寧に取り組んでも手応えが出ない。その入口がどこにあるのか。ここから先で、順番をひとつずつ辿っていきます。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
- ✓入門記事だけでは物足りなくなった
- ✓連鎖の構造そのものを理解したい
- ✓自分の身体を読む地図を持ちたい
- ✓一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい
今は別の道が合う方
- —対症療法だけで、充分整っている
- —短い情報だけで答えを得たい
- —受け身で改善を待ちたい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●見えている症状の三段下に流れている、根の構造
- ●上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
- ●季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
- ●食・動き・呼吸で根に手をつける順番
- ●自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 年齢的に、今さら身体は変わるものでしょうか?
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は、養生の入口を変える理由にはなりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先では、春の肝と身体の連鎖を、冬の腎との関係から丁寧に辿っていきます。六節気ごとの変化、食卓でできること、動きの原理、そしてご自身の連鎖の段階を読む地図まで。順番に辿ることで、毎年繰り返す春の不調に、初めて構造として向き合えます。
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完全ガイド 約12,000字/六節気の全体解読
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