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アスリートの身体は季節で変わる

KAZU@FURYU
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この記事を書いた人

高田一壽

高田 一壽

たかだ かずひさ

役職
PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表
臨床歴
30年以上
施術実績
月間200名以上
教育
療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
指導実績
全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
メディア
大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導

長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。

この一段奥にあたる話は、別の記事でゆっくり扱っています。
≫ 朝、腰に手を当てて起き上がる日が増えてきた、その構造

アスリートの身体は季節で変わる

練習量は変えていないのに

冬のグラウンド。息が白い。走り出しの一歩目がいつもより重い。関節の動きにどこか引っかかりがある。

こんな朝が、毎年繰り返されている。これは自分の話だ、と感じた方もいると思います。

練習メニューは変えていない。去年と同じことをしている。なのに、冬になるとケガが増える。肉離れ、膝の痛み、腰の重さ。「準備運動が足りないんじゃないか」と言われて、ウォームアップの時間を増やす。でも、また同じところを痛める。


逆に、春になると身体が軽くなる。練習量が増えても疲労が溜まりにくい。「あれ、なんか調子いいな」と思う。でも理由がわからない。

夏は汗の量が尋常じゃない。パフォーマンスが落ちて、スタミナが持たない。秋になると少し戻る。この繰り返しを、毎年なんとなく過ごしてきた…。そんな方は多いです。


気になるのは、毎年「同じ場所を」痛めることです。右膝の内側、左の股関節、ふくらはぎの同じ箇所。場所が毎冬変わらない、というのは、体質の問題ではなく、身体の中に繰り返している「弱いリンク」があるというサインなんですよね。

もう一点。ウォームアップを増やしても結果が変わらない、という経験をした方は少なくありません。これも大事なポイントで、問題が「準備の量」ではなく、準備の前の段階、つまり身体の内部環境にあることを示しています。動き出す前から組織が硬くなっている。その状態には、いくら動いても追いつかないんです。


身体のパフォーマンスが季節ごとに変動するのは、偶然ではありません。そこには構造があります。


冬になると同じ場所を痛めると気づいた朝、練習量を増やしても減らしても結果が変わらないと、自分の身体の見立て力そのものへの信用が、静かに減っていく…。その感覚、PNFCの臨床現場ではよく耳にします。

問題は「量」でも「気合い」でもなかったんですよね。季節ごとに身体の内側で起きていることを、ご自身が知らなかっただけなんです。

ここで一つ確認しておきたいことがあります。「自分は毎年冬に痛める」と分かっていても、それを防げていない方は多いです。知っているのに防げない。これは意志の問題ではなく、「何が起きているか」は分かっても「なぜ起きているか」の構造が見えていないために、手の打ちようがない状態なんですよね。構造が見えると、手の打ち場所が変わります。


たとえば、腎が冷えた状態で強いストレッチをすると、組織が引き伸ばされすぎて逆に硬くなることがあります。ウォームアップを増やせば増やすほど、疲弊が先に来る。これは努力が足りないのではなく、身体の内部環境に合わない方向への努力をしていたからです。努力の方向が変わると、同じ時間の使い方で得られる結果が変わっていきます。




年間均一のトレーニングが故障を呼ぶ

スポーツの世界では「年間を通じてコンスタントに練習する」のが正しいとされています。オフシーズンにも走り込み、冬場も追い込む。量をこなした人が勝つ。

これ、身体の仕組みから見ると、ちょっと違うんですよね。


季節によって、身体の中で優勢になる臓が変わります。冬は腎、春は肝、夏は心、秋は肺。これは東洋医学の五行の考え方です。それぞれの臓が担う機能が季節によって強くなったり、弱くなったりする。

冬に腎が弱ると、骨・関節・腱が硬くなる。その状態で強い負荷をかけると、故障する。「冬に肉離れが多い」のは、準備運動の不足ではなく、腎が冷えて組織が硬くなっているからです。


もう少し具体的に言うと、腎が担う「骨・腱・関節の弾力性」は、腎陽という温める力によって維持されています。冬の冷気はこの腎陽を直接削っていく。室内にいても、足元が冷えたまま長時間過ごしていれば、腎陽は静かに消耗し続けます。靴下を3枚重ねても足先が温まらない方は、腎陽の消耗が始まっているサインとして受け取るといいんですよね。

年間を通じて同じ強度で追い込むトレーニングは、この季節の波を完全に無視しています。冬は蓄える季節。この時期に消耗を最大化するのは、来年の春の立ち上がりを自ら潰している構造です。


一つ、注目してほしいことがあります。「冬に頑張れた年」と「冬に無理をしなかった年」で、翌年の春の身体感覚を比べてみてください。この記録を持っている方は少ないですが、振り返ると「そういえば」と思い当たる方は、現場では多くいます。冬に追い込んだ翌春に、なぜか故障した。逆に、冬を比較的ゆっくり過ごした翌春は、動き出しが早かった。そのパターンに名前がつくと、次の冬の選択が変わってきます。


冬の腎冷え
腱・関節が硬い
故障

…なぜ冬に故障が多いのか?


季節に合わせてトレーニングの質を変えること。これが故障を防ぐ根本的な考え方です。


ここで一つ、現場で繰り返し目にする構造について触れておきます。年間均一のトレーニングへの違和感は、ずっと前からありました。選手が努力しているのに故障が減らない。量を調整しても結果が変わらない。その問いに向き合ったとき、「季節」という視点が欠けていることに気づいたんですよね。

踏み込んだ言い方をするなら、「冬に追い込むほど強くなる」という信念は、身体の仕組みからすると逆向きです。以前は選手に「もっと追い込め」と伝えていたこともあります。でも今は違います。冬の追い込みが翌年の故障を作っていた、という現実を現場で繰り返し確認してきたからです。これは言いにくい話ですが、伝えずに済ませると不誠実だと感じる。だから書きます。

冬の故障は、準備運動の量で決まっているのではない。腎の温める力で、組織の硬度が決まっている。この認識の転換が、現場のアプローチを大きく変えました。



FOR / この記事が向いている人

向いている方

  • 症状の表面ではなく、その三段下にある根に手をつけたい
  • 入門記事だけでは物足りなくなった
  • 連鎖の構造そのものを理解したい
  • 自分の身体を読む地図を持ちたい
  • 一度学んで、自分で整え続ける力を持ちたい

今は別の道が合う方

  • 対症療法だけで、充分整っている
  • 短い情報だけで答えを得たい
  • 受け身で改善を待ちたい

PREVIEW / ここから先で扱うこと

  • 見えている症状の三段下に流れている、根の構造
  • 上流から下流へ、三段階で進む連鎖の進行
  • 季節と五臓のリズムが、現在の症状に与える影響
  • 食・動き・呼吸で根に手をつける順番
  • 自分の連鎖の段階を読む地図が、手に入る

Q&A / 読みはじめる前に

Q. 運動が苦手でも、続けられますか?

続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。

Q. 年齢的に、もう変化するのは難しいのでしょうか?

身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。対応が後手に回った分だけ、修復に時間がかかることはありますが、方向は必ず動きます。

Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?

早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。

ここから先に、もう一段深い話があります。

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ABOUT ME
高田一壽
高田一壽
PNFC TEC JAPAN 会長
30年以上にわたり、月200名を超える人々の身体と向き合ってきた、日本でも稀有なコンディショニングのスペシャリストである。 東京療術学院で講師として専門家育成に携わり、全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体での指導を通じて、幅広い臨床経験を培ってきた。 大手企業のTVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導、全国から寄せられる多数のセミナー依頼など、多方面で活動実績を積み重ねている。 その長年の現場経験から体系化されたPNFCは、運動能力の改善と身体の再構築を可能にするメソッドとして確立され、現在も全国からの依頼が絶えることはない。
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