くしゃみの前にふと身体を固めてしまう方へ
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
くしゃみの前に、ふと身体を固めてしまう方へ
気づいたら、身体で息を殺す癖がついていた
くしゃみが来そうになった瞬間、
下腹部にぐっと力を入れる。
その動作を、もう何年も繰り返しています…
重い荷物を持ち上げるとき。
友人と声を立てて笑ったとき。
駅のホームで走りだそうとした瞬間。
「大丈夫かな」と身構えてから動く、
その習慣が、もう当たり前になっています。
夜中にトイレで目が覚める。
翌朝、寝た気がしない日が続く。
外出先ではまず、トイレの場所を確認する。
長い移動が、以前より少し不安になっている。
誰にも相談しにくい。
「年齢のせい」「出産のせい」と
片づけてきた。
くしゃみが出る一瞬前に、
無意識に身体を固める癖がついた朝。
自分の身体への信用が、音もなく減っていく感覚があります。
PNFCの現場に来られる女性の多くが、
同じ場面を持っています。
月間200名以上の施術のなかで、
「骨盤底筋体操を続けてきたけど変わらない」
「寒くなるとまた戻ってしまう」
という方は、本当に多いんです…
努力が足りないのではありません。
変わらない理由は、骨盤底筋より手前にあります。
骨盤底筋は「鍛える筋肉」ではなく、「場所が整った結果として働く膜」です
尿漏れについて調べると、
ほとんどの情報に、こう書かれています。
「骨盤底筋を鍛えましょう」
「キュッと締める運動を続けましょう」
それ自体が間違いというわけではありません。
ただ、続けても変わらない方が多いのには、構造的な理由があります。
骨盤底筋は、腕や足の筋肉とは少し違います。
「意識して締める」前に、
その筋肉が張力を持てる「場所の条件」が整っていないと、
どれだけ繰り返しても、届かない…
たとえば、水の巡りが止まっていると、
膀胱の周辺が冷えて硬くなります。
冷えて硬くなった環境では、
骨盤底筋は本来の弾力を発揮できません。
膀胱は風船のようなものです。
伸びたり縮んだりする弾力があって、はじめて働きます。
ところが、周囲の水の巡りが滞って冷えると、
この弾力が、水分を含まなくなった古いゴムのように失われていきます。
PNFCの30年以上の臨床で繰り返し見てきたこと。
骨盤底筋を締める前に、水の巡りを取り戻す。その順番が逆だと、どこまでいっても届かない。
骨盤底筋体操で改善した方がいることは事実です。
ただ、続けても変わらない方が多い現実と向き合わなければ、
本質を見落とすことになります。
PNFCは「上流から整える」という順番を必ず軸にしていますが、でも個人差はあります。
上流を整えても変化が出にくい方、別の層に問題がある方もいます。
「上流から」は出発点であって、全ての答えではありません。
尿漏れと骨盤を、PNFCはこう見ている
第1層
表に現れている症状
尿漏れ / 頻尿 / 骨盤の不安定さ / 下半身の冷え / 産後の戻りにくさ
— ここを揉んでも、しばらくすると戻ってくる
第2層
巡りと呼吸の停滞
血の流れが鈍る / 水の巡りが滞る / 呼吸が浅くなる / 自律神経の揺れ
— 第1層の症状を作り出している、ひとつ手前の流れ
第3層 / 根
五臓の循環と季節のリズム
前の季節の過ごし方 / 五臓の連鎖 / 使われ方のズレ / 深層の眠り
— ここに手がつくと、上の二層が一緒にほどけはじめる
この図を見ると、尿漏れや頻尿が第1層にある症状であることが分かります。
そして第1層を作り出しているのは、
第2層の「水の巡りと自律神経の停滞」です。
水の巡りが止まると、
膀胱の周囲が冷えて硬くなります。
硬くなった膀胱は、弾力を失います。
弾力を失った膀胱は、
十分な量の尿を溜められなくなります。
これが、頻尿の一因です。
さらに膀胱と表裏の関係にある「腎」が冷えることで、
骨盤底筋の支える力そのものが出にくくなります。
くしゃみや咳のような急な圧力に
対応しきれなくなる。
これが、「締めようとしても締まらない」本当の理由です。
自力では整えきれない理由
ご自分で骨盤底筋に取り組んでも変わらない理由は、
「意志の問題」でも「やり方の問題」でもありません。
PNFCの見立てでは、骨盤底筋が本来の機能を取り戻すには、
少なくとも3つの条件が同時に整う必要があります。
① 水の巡りが再び動いていること
骨盤底が冷えていては、筋肉に電気が通らないのと同じです
② 内転筋群の硬直が解けていること
太ももの内側が硬くなったまま骨盤底を締めようとすると、外から圧迫した状態で力を入れることになります
③ 骨盤の傾きと上体の位置が整っていること
骨盤底筋は「姿勢という土台が成立した結果として生まれる張力」です。土台が傾いていると、どれだけ締めても力が届きません
この3つを同時に揃えながら、
ご自分で正確に進めるのは、構造的にかなり難しいんです…
心細くなるのは当然です。
方法が間違っているわけでも、身体がダメなわけでもない。
順番を間違えていただけです。
身構えずに、くしゃみが出た朝のこと
身体の内側が整い始めると、変化は静かに訪れます。
朝7時、目が覚めて布団の中でそっと動いてみる。
下腹部に力を入れなくても、身体が落ち着いている。
くしゃみが来そうになって、でも身構えなかった。
それだけのことが、
ずいぶん遠くまで来た、という感触をもたらします。
夕方5時、友人と話しながら声を立てて笑った。
席を立たずに最後までいられた。
帰り道、そのことをふと思い出して、
肩からすとんと力が抜けた瞬間がありました。
夜、朝まで起きずに眠れた。
翌朝の目覚めが、以前と違います。
「気がかり」がどれほど大きかったか、
なくなって初めてはっきりとわかる。
鍛えるのではなく、取り戻す。
締めるのではなく、巡らせる。
意識しなくても、保たれている。
それが、PNFCの目指す状態です。
FOR / こんな方に
向いている方
- 骨盤底筋体操を続けても変化を感じられない方
- くしゃみや笑いで、ふと力を入れる癖がある方
- 尿漏れと同時に、下半身の冷えや腰の重さがある方
- 夜間のトイレが気になり、眠りが浅い方
- 「骨盤底筋」という概念は知っているが、巡りの視点で見たことがない方
合わない方
- 泌尿器科や婦人科での精査がまだの方(まず受診を)
- すぐに手術などの医学的処置を求めている方
- 骨盤底筋体操だけで十分だと感じている方
PREVIEW / このあとの本文では
- 01水の巡りと骨盤底の関係。なぜ「水系」が先に整う必要があるのか
- 02内転筋群と膀胱の連鎖。なぜ「太ももの内側」から入るのか
- 03腎と季節の関係。なぜ冬に悪化して、なぜ春に少し楽になるのか
- 04食と水の巡り。「減らすもの」と「温めるもの」の順番
- 05PNFCの見立てから辿る「取り戻す」順番。セルフアプローチの入口
Q&A / よくある問い
Q. 骨盤底筋体操でなく、なぜ「水の巡り」から始めるのですか?
骨盤底筋は、周囲の環境が整ったときに本来の張力を取り戻す構造です。冷えや水の停滞がある状態で締める動作を繰り返しても、届かないことが多い。PNFCでは「場所の条件を整えてから機能に働きかける」順番を大切にしています。
Q. 出産から年数が経っていても、変化は出ますか?
年数ではなく、「現在の状態がどこにあるか」です。PNFCの臨床では、出産から10年以上経ってからはじめて変化が出た方も多くいます。体質ではなく状態の問題であれば、整えれば身体は応えます。ただし全員に同じ変化が出るとは申しません。
Q. 続きの本文は、難しい内容ですか?
専門用語をそのまま並べるのではなく、身体感覚で追える構成にしています。東洋医学の背景が全くない方でも、「なるほど、だから変わらなかったのか」と腑に落ちる説明を目指しています。
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概念図・PNFC独自の見立て
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