春の身体を動かすなら肝のストレッチから
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
春の身体を動かすなら、肝のストレッチから
暖かくなったのに、身体が重い方へ
窓を開けたら、風が少しぬるかった。桜のつぼみが膨らんで、もう春だと思う。
身体を動かしたい気持ちはある。冬の間に固まった身体を、そろそろほぐしたい。でも、いざ動こうとすると、思ったより身体が重いんですよね…
右の股関節になんだか引っかかりがある。冬の間はこんなことなかったのに。肩甲骨を動かそうとすると、ゴリゴリ音がする。夕方になると目がぼやける。朝、布団から出るのに時間がかかる…
毎年同じ時期に、毎年繰り返してきた。そう気づくと、少し気持ちが落ちますよね。
とりあえずストレッチでもしようか。YouTubeで見た全身ストレッチを試してみる。なんとなくスッキリするけれど、三日坊主で終わる。何を、どの順番でやるのか、わかっていないから続かないんですよね。
PNFCの臨床現場では、春になるたびに「なぜか身体が重い」「冬より動けなくなった気がする」という方が月間200名以上の施術のなかで絶えません。
多くの方が「年齢のせい」「運動不足」と思っています。でも、春の重さは年齢のせいではありません。30年以上の臨床経験のなかで、それが理由だったケースは少数です。
春の身体には、春に合った動かし方があります。季節ごとに身体の中で主役になる臓器が違う。動かすべき場所も、季節によって変わるのです。
全身を均等にほぐしても、春の重さは取れない
ストレッチの動画を見ると、たいてい「全身を均等に伸ばしましょう」と言っています。上半身、下半身、左右をまんべんなく。それ自体は間違いではありません。
でも、全身を均等にほぐしても、春の身体の重さは取れないんです。
水が細い管の中で詰まっているとき、管の端をいくら温めても流れない。詰まっているところに直接手をつけないと、流れは戻りません。春の身体の重さも、同じ構造です。
春の身体には、春のうちに動かしておきたい場所がある。そこを後回しにすると、全身伸ばしても身体の目覚めが追いつきません。
東洋医学では、春は「木」の季節。木に対応する臓器は「肝」です。肝は筋をつかさどっている。春に動き出すのは肝の気であり、筋が柔らかくなることで肝の気がスムーズに流れます。
背骨には各臓器に対応するポイントがあります。肝に対応する場所は胸椎の10番目と11番目あたり。背骨の真ん中よりやや下です。
ここが硬いまま全身ストレッチをしても、肝の気は動きにくい。
春のストレッチは、この「肝の通り道」から始めるのが順番なんですよね。
全身ストレッチで取れない理由はここにある
春の身体の重さは、筋力不足でも運動不足でもありません。
肝の気の通り道が、冬のまま閉じているだけです。
「ストレッチすればいい」だけでは、変わらない理由
なぜ、全身ストレッチを続けても春の重さが取れないのか。
それには、三つの条件が同時に揃わないといけないからです。
① 肝の気の通り道(胸椎T10-T11周辺)がひらいている
② 肩甲骨と体側が連動して動ける状態になっている
③ 冬に蓄えた腎の力が、肝へのエネルギーとして渡せている
この三つが揃わなければ、ストレッチしても身体は目覚めません。
どれか一つが欠けていれば、残りの二つが揃っていても動かない。
ご自身でこの順番を組み立てるのは、けっこう手探りな作業です。何をどこから動かすのか。何が欠けているのか。体側を伸ばしても肩甲骨が動かない、肩甲骨を寄せても胸椎が反応しない…という循環に入ってしまいます。
上流から順番に手をつけないと、どこをほぐしても「また元に戻ってしまう」を繰り返します。
肝の通り道がひらいたとき
PNFCの臨床現場で、春になるたびに見てきた変化があります。
背骨のT10-T11あたりに手をつけ、体側と肩甲骨が連動して動き始めた方。
その方の朝が変わるんですよね。
朝目覚めたとき、身体がすっと軽くなっている。布団の中でゆっくり手足を伸ばすとき、肋骨の間が広がる感触がある。冬の間は布団の中で20分じっとしていても指先が冷たいままだったのに、朝7時にはもう手足が温かい…
午後3時、デスクワークの合間に背筋を伸ばすとき、胸郭がすっと開いて呼吸が深くなる。目の奥のぼやけが少しやわらぐ。肩甲骨が背中にきれいに貼りついているような、静かな安定感。
夜、お風呂から出て鏡を見たとき、顔色が春の色をしている。春先によく出ていたイライラが、少し落ち着いている。身体が、季節と一緒に動き始めている感覚…
これは、特別な体力や時間が必要な話ではありません。肝の気の通り道を知って、順番通りに手をつけただけです。
踏み込んだ言い方をします。肝の通り道を整えることが、春の重さを変える起点です。言い切ります。もちろん全員に同じ速度で効果が出るとは言いません。冬の過ごし方も、身体の状態も、それぞれ違いますから。ただ、PNFCの現場で春に身体が変わった方の多くが、この順番を知ったことが起点になっていました。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓春になるたびに身体が重く、動き出すのに時間がかかる
- ✓肩甲骨のゴリゴリ、股関節の引っかかり、目のかすみが春先に重なる
- ✓全身ストレッチを続けても、変わっている感じがしない
- ✓季節に合った身体の整え方を知りたい
- ✓複数の不調が実は一本でつながっていると感じている
今は別の道が合う方
- —まず部位別の即効対処法を探している
- —筋力強化を優先したい
- —短期間で結果だけを求めている
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●体側→肩甲骨→大動脈、三段階で進む連鎖の全体構造
- ●目・感情・爪・関節に同時に出る、肝の多層的な波及
- ●「水は木を養う」冬の過ごし方が春に直結する理由
- ●春に肝を助ける食卓の組み立て方(酸味の量感・旬の野菜)
- ●ご自身の「肝の詰まり度」を自分で読む三段階のサイン
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも取り組めますか?
取り組めます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。PNFCは「ほぐして、整えて、動かす」の順番ですから、身体への負担は最小限になるよう組まれています。
Q. もう年齢的に、変わらないのでは?
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、春の重さが変わるのをいちばん早く感じるのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 東洋医学はよく知らなくても理解できますか?
知識は不要です。用語が出てきたときは必ず噛み砕いて説明します。身体感覚の話として読んでいただければ、ご自身の春の状態がどこから来ているかが自然に見えてきます。
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概念図・PNFC独自の見立て
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