晩夏のストレッチは「脾」を助ける動きを
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
夏の終わり、胃腸だけがくたびれている
複数の不調がばらばらに出てきている方へ。
暑さは少し和らいできた。
なのに、身体がだるい…
食欲がわかない。
食べても、お腹が重い。
水を飲んでも足がむくんだまま。
夕方になると脚がパンパンになる。
膝の外側がなぜか張って、ストレッチしても取れない。
唇もなんとなく荒れてきた気がする。
症状がバラバラで、どこから手をつけていいか分からない…
そういう状態が、毎年同じ時期に繰り返されているんですよね。
PNFCの臨床現場でも、晩夏に「何か調子が悪い」と来られる方の多くが、複数の症状を同時に抱えています。
だるさ・むくみ・膝の外側の張り・唇の荒れ・消化の重さ。
実は、これらがばらばらに見えているのには理由があります。
全部が「脾」という一つの臓器の疲弊から起きているからです。
晩夏のだるさは「暑さ疲れ」ではなく「脾の湿り」
夏の終わりにだるいのは暑さのせい。
多くの方がそう片付けています。
でも、東洋の身体観ではまったく別の説明をします。
晩夏は「土」の季節。
土に対応する臓器は「脾」。
脾は消化を担い、食べたものを全身に配る臓器です。
脾は「湿」を最も嫌います。
晩夏の高い湿度は、脾にとって直撃の負担です。
湿気に負けた脾は、水の配分がうまくできなくなります。
食べても消化が追いつかない。
水を飲んでもむくみが取れない。
それは暑さ疲れではなく、脾が湿気に飲み込まれている状態です。
ここで大事なのが、胃経という経絡との関係です。
胃経は人体の中で最も長い経絡で、唇から始まり食道・胃・腸を通り、足の人差し指まで続いています。
この長い経路が脾の疲弊によって詰まると、唇の荒れ・足のむくみ・膝の外側の張りが同時に起きてくるんです。
…この連鎖の断ち方は、後の本文で辿ります
脾を助けるには、順番と組み合わせが同時に揃う必要があります
ここが、ご自分でやろうとすると難しいところなんです。
脾の養生には、三つの条件が同時に揃わないと動きません。
①「横隔膜から動かす呼吸」が先にある
深層筋が眠ったまま表面だけ動かしても、脾胃への巡りは戻りません。
起こす順番が最初に来ます。
②「胃経の詰まり」を解消する動きがある
腸脛靭帯は胃経の延長上にあります。
ここをただ伸ばすだけでは緩みません。ねじりの対角パターンが必要です。
③「冷やさない」という日常の土台がある
食卓での脾の保温がなければ、動きで緩めた経絡がすぐに閉じ直します。
食・動き・体温の三つが一緒に動いてはじめて、連鎖が断ち切れます。
この三つを正しい順番で、同時に整えるのは、
ご自分で探りながら組み立てるのは、なかなか心細い作業です…
何かひとつ変えて「少し楽になった気がする」が続かないのも、この順番が整っていないことが多いんですよ。
深層を覚ます順番を、ご自身で辿る
STEP 01 起こす
深層に届く呼吸を、ひとつ取り戻す
激しい運動の前に、横隔膜の動きを取り戻す。眠っていた深層筋に「これから動くよ」と合図を送る段階です。
STEP 02 ほどく
こわばっている関節を、小さく回す
大きく伸ばすのではなく、小さく回す。可動域を広げるのではなく、軸のズレを少しずつ整えていきます。
STEP 03 巡らせる
整えた身体を、自分のリズムで動かす
深層が起きて、関節がほどけたあとなら、ふだんの動きそのものが養生になります。順番を守ることが、いちばんの近道です。
起こす / ほどく / 巡らせる ── この順番が逆になると、せっかくの動きが届きません。
つながる不調を、PNFCはこう見ている
第1層
表に現れている症状
一見ばらばらの不調 / 別の場所への波及 / 慢性化 / 再発 / 同時多発
— ここを揉んでも、しばらくすると戻ってくる
第2層
巡りと呼吸の停滞
血の流れが鈍る / 水の巡りが滞る / 呼吸が浅くなる / 自律神経の揺れ
— 第1層の症状を作り出している、ひとつ手前の流れ
第3層 / 根
五臓の循環と季節のリズム
前の季節の過ごし方 / 五臓の連鎖 / 使われ方のズレ / 深層の眠り
— ここに手がつくと、上の二層が一緒にほどけはじめる
胃腸が動き出すと、秋の身体への切り替えが始まる
脾を助ける動きを正しい順番で取り入れると、身体の変化に気づきます。
食べたものがすっきり消化される感覚。
夕方になっても脚がパンパンにならない。
膝の外側の張りが自然と引いてくる。
朝目覚めたとき、お腹の重さがなくて軽い。
そういう秋の入り口を過ごせる身体に、晩夏の脾の養生が変えていきます。
PNFCの臨床現場では、晩夏にこの連鎖に手をつけた方が、秋に入っても肌荒れが少なく、乾燥の季節を比較的楽に通過するのを見てきています。
秋に肌を作る力は、実は晩夏の脾の状態で決まるんです。
また、脾と胃が本来の動きを取り戻すと、むくみが引くだけでなく、体重の変化が出てくることがあります。
流れないところに何を入れても消えていく、そういう仕組みだからです。
夏のだるさが抜けて、秋の身体へと切り替わっていく。
その鍵を握っているのが、晩夏の脾の養生です。
ここから先では、その具体的な連鎖の構造と、整える順番を辿っていきます。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓ばらばらに見える複数の不調が、内側でつながっている感覚がある
- ✓ひとつ整えてもまた別の場所が出る、を繰り返している
- ✓個別対症ではなく、全体像を知りたい
- ✓複数の症状を同時に動かしたい
- ✓自分の身体の地図を持ちたい
今は別の道が合う方
- —ひとつの症状だけで、ご自分の身体を捉えていらっしゃる
- —部位別の対処法を探している
- —短期完結型の答えだけを求めている
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●上流の不調が下流へ波及する、三段階の連鎖構造
- ●複数の症状を同時に動かす、ひとつの整え方
- ●「対処しても戻ってくる」連鎖を断つ順番
- ●ばらばらに見えていた不調が、一本につながって見える瞬間
- ●自分の不調のつながりを、自分で読めるようになる
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. もう年齢的に、いまさら変わらないのではと感じています
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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