「季節の養生」を知ると身体の見え方が変わります
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
毎年同じ季節に、同じ不調が出る方へ
また今年も、同じ場所でつまずいている方に伝えたいことがあります。
3月になると決まって、布団から起き上がれないような重だるさが続く…
梅雨が始まった週、身体がなんとなく重くなって、
デスクに座っているだけなのに、夕方には疲れ果てている…
10月に入った朝、布団の中でふと「あ、今年もまた咳が始まりそう」と感じる…
これは「気のせい」でも「年齢のせい」でもありません。
毎年同じ季節に同じ不調が出るのは、身体が前の季節に抱えた疲れを、次の季節へ持ち越しているサインなんです。
PNFCの臨床現場では、月間200名以上の方と季節ごとの身体の変化を向き合ってきました。
「春になると頭が痛くなる」「秋口に必ず風邪をひく」「冬になるたびに腰が重くなる」。
そういった季節パターンの不調を持つ方の多くが、
実は今の季節の対策をしているんですね。
春にだるければ、春の対策を。
秋に咳が出れば、喉のケアを。
それで改善するなら続ければいい。でも毎年同じ場所に戻ってくるなら、
対策を打つ季節が、ひとつ遅れているのではないでしょうか。
「こんな朝、去年も同じだったな」と気づいている方に、
PNFCの30年の現場で観察してきた季節の連鎖の見立て方をお伝えしたいと思います。
毎年同じ時期に、毎年同じ場所でつまずいていることに気づいている方。
「また今年も同じか」と思いながらやり過ごしてきた方。
この記事はそういう方に向けて書いています。
今の季節の不調は、前の季節から始まっている
正直なところ、ここを多くの人が見落としていると思っています。
季節の不調を「今の季節の問題」として捉えている限り、
毎年同じ場所に戻ってくる構造は変わりません。
この引っかかりがあって、この記事を書いています。
「秋になると咳が出る」という方がいます。
そういった方の身体を見ていると、秋に入ってから何かが崩れたのではなく、夏の終わりに脾胃がすでに疲弊していたことがほとんどです。
夏の暑さと湿気に疲れ果てた脾胃は、秋の肺へエネルギーを渡せない。
肺に十分な力が届かないまま気温が下がり始めると、粘膜が作れない、免疫が整わないという状態になる。
表に現れた咳は「秋の症状」に見えます。
でも、その原因は夏の終わりに積んできていたんですね。
PNFCの東洋医学的な見立てでは、
五行(木・火・土・金・水)の循環の中で、五臓は季節ごとに順番に前に出てきます。
春の肝が動き、夏の心へ送り、晩夏の脾が受けとめ、秋の肺が整え、冬の腎に蓄えられる。
この輪のどこかが弱ると、次の臓器への引き継ぎがうまくいかない。
だから毎年同じ季節に、同じ不調として出てくるんです。
「以前は秋になるとちょっと疲れる程度だったのに、今年は咳まで出るようになった」。
そういう変化を感じてきた方は、前の季節の養生が届いていない状態が少しずつ深くなっているサインです。
以前は「体質だから仕方ない」と思っていました。でも30年以上の臨床現場で見続けてきて、分かったことがあります。
毎年同じ季節に戻ってくる不調のほとんどは、体質ではなく、季節の連鎖の状態です。
状態であれば、整えることができます。
これは問いの向きが反転します。「体質だからどうにもならない」から「連鎖のどこで詰まっているか」へ。
これを「体質だから」と受け取るか、「状態だから整えられる」と受け取るかで、
この先の身体がまったく変わってきます。
五行は「連続して回る」関係にあります。
どこかひとつが弱ると、次の臓器への引き継ぎが崩れる。
そしてその崩れは、今の季節ではなくひとつ先の季節の症状として現れます。
たとえば、酷暑の夏が続いた年。
心(夏の臓器)が酷使され、晩夏に脾胃(土の臓器)が疲弊し、
秋の肺が免疫を作り切れない…という流れで、冬の前に体調が崩れやすくなります。
「今年は夏が特別暑かったから仕方ない」と思いがちですが、
PNFCの見立てではそこに昨年の冬の養生が追いついていたかどうかまで遡ります。
季節をまたいだ連鎖の読み方が、毎年同じパターンを繰り返さないための核心です。
季節の不調を、PNFCはこう見ている
季節ごとに、身体の「主役」が変わります
窓を開けたら、花粉で目がかゆい。
「あれ、去年はこんなにひどくなかったのに」。
そう感じた方は、肝の応答が変化しているサインかもしれません。
五臓が季節のリズムにきちんと応答している状態なら、
季節に応じた症状が出るのは正常な反応です。
目の調子が悪い、鼻が詰まる。春ならそれは肝と胆の仕事。
身体が「今の季節」を生きようとしているサインです。
問題は、その応答が年々強くなっているときです。
以前は気にならなかった季節に、今年は明らかに調子が落ちる。
それは前の季節の蓄積が、また今年も積み重なっているサインです。
それぞれの季節で、身体に何が起きているのか。
どんな不調が、どの臓器のサインなのか。
その読み方を知ると「なんとなく調子が悪い」が、
「ああ、今はこの臓器の季節だから」に変わります。
まだ言葉にしにくい疲れ感があった方は、
この図と照らし合わせてみてください。
「これは自分の話だ」と感じる場所が、一つはあるはずです。
寒暖差は「陰陽の崩れ」です
季節の変わり目に体調を崩しやすい方には、共通のパターンがあります。
「寒暖差がひどくなった年に限って調子が崩れる」。そういう経験をお持ちの方は多いです。
PNFCの見立てでは、寒暖差を「気温の問題」としては読みません。
陰陽の切り替わりに、身体がついていけていない問題として見ます。
一番体調を崩しやすいのは、
陰と陽が入れ替わる「晩秋」と「晩春」の頃です。
急激にバランスが変わるこの時期を、
身体がうまく乗り越えられるかどうかが鍵になります。
「毎年この時期になると布団から出るのがつらくなる」という方。
それはだらけているわけでもなく、気力の問題でもない。
身体が陰陽の切り替えに追いつこうとして、内側でがんばっているんです。
陰陽のバランスを調整しているのは自律神経。
そして人間が自律神経をコントロールできる方法は一つ。
呼吸です。ただし、身体が硬い方は呼吸法の前に
酸素が入りやすい身体を取り戻す必要があります。
もう一つ、陰と陽をつないでいるのが身体の「横側」です。
骨盤と肋骨の間には背骨しかない。
横を伸ばし、回旋を加えることで、
この「つなぎ目」が動き出します。
三つの条件が、同時に揃わなければ動かない
ここまで読んで「では何から始めればいいのか」という方に、
正直なことを言う必要があります。
季節の連鎖をほどくには、三つの条件が同時に揃わなければなりません。
ひとつ目は、季節を超えた視点。今の症状だけを見ていると、起点が読めません。
ふたつ目は、脾胃と五臓の優先順位の見立て。整えているつもりで別の場所を消耗させることが起きやすい。
みっつ目は、身体側の動かし方の順序。概念だけでは連鎖はほどけない。
この三つが揃わないまま動かすと、整えているつもりで消耗を重ねてしまうんです。
それをやれていないことは、責める必要はまったくありません。
構造的に難しいし、踏み込んで言えば、「正直に言うと、一人でやるのはかなり心細い作業です」とPNFCは臨床現場でずっと感じてきました。
季節の連鎖がほどけはじめた朝の感覚
「以前は秋になるといつも咳が1〜2週間続いていたのに、今年はほとんど出なかった」。
PNFCの臨床現場で、こういった変化を語る方があります。
身体の変化はいつも「朝の感覚」から気づきます。
布団から起き上がるときの軽さ。
朝目覚めたとき、身体が軽い。いつもの重だるさがない。
「あ、今日は大丈夫そうだ」と感じる朝があります。
それは季節が変わっても身体が以前の季節を持ち越さなくなったサインです。
「去年の自分とちょっと違う」という感覚。
その感覚はまだ言葉にならないかもしれません。
でも、身体はちゃんと変化を知っています。
一年のリズムで整える養生が届いてくると、季節の変わり目が脅威ではなくなるんです。
ここに書いたことで全部分かったとはならないと思います。
五行と季節の連鎖は、この記事よりもずっと複雑に動いています。
ただ、「毎年同じ季節に同じ場所でつまずいている」という方に、
その連鎖を読む出発点はお伝えできたと思います。
踏み込んだ言い方をすれば、「今の季節の対策しかしていない方は、来年も同じ場所に戻ってきます」。
これは強い断言です。全員に同じ速度を約束するものではありません。
でも、毎年同じパターンを繰り返している方には届いてほしい言葉です。
季節の悪循環
①
前の季節を整え損なう
②
五臓が応え損なう
④
次の季節へ持ち越す
③
不調が出る
↻ どこか一点を変えると、ループ全体がほどけはじめます。
季節ごとに「養う場所」が変わります
気がつくと、いつも同じ足から靴を履いている。
身体には癖があります。季節の養生にも「場所の選択」があります。
肘から先には骨が2本あります。膝から下にも2本。
なぜ2本あるのかというと「回す」ために必要だからです。
この回旋が、遠くの臓器を動かす仕組みです。
手首をある方向に回すと肺が動き出す。足首をある方向に回すと腎臓が温まってくる。
「以前は冬になると足首を回してもぜんぜん温まらなかったのに、最近は少し変わった気がする」。
そういう変化に気づく方がいます。
それは、回旋が正しい場所に届き始めているサインなんです。
食は「旬のもの」で終わりません
旬の食材を選ぶ。それは大事なことです。
でも、PNFCの食養生はもう一歩先があります。
食べ物には「陰」と「陽」があります。
身体を冷やすものか温めるものか、という見方です。
根のもの(土の中)は陰。芽が出て太陽を浴びたものは陽。
陰と陽が左右均等な状態で入ってくると、気の流れが整います。
春の食。気を動かすための食。
お米は胃に負担をかけず気を動かしてくれる一番の食材。
粘膜を潤す山芋、里芋、レンコン。旬の山菜は精気が宿る。
夏の食。冷たいものを入れたくなりますが、脾胃は湿気を嫌います。
朝に白湯を飲んで胃を乾かすことが、脳のむくみを軽くする入口。
瓜類(きゅうり、にがうり)は陰の食で体を冷ましてくれます。
秋の食。免疫を作る季節には白い食材。
かぼちゃ、大根、かぶら。お米をしっかり食べることも効く。
冬の食。腎を養う黒い食材と根菜。
煮干し(カルシウム)、お米、発酵食品。温かい形態で食べること。
電子レンジで温めると陰でも陽でもなくなります。蒸す、煮る、焼く。
全季節の土台。脾胃を養う黄色い食材。
生姜、かぼちゃ、ターメリック、お米。
物をゆっくり噛むことが体温を上げます。
「電子レンジを使うのをやめてから、なんとなくお腹の調子が変わった気がする」。
そういう声はPNFCの現場で時々聞きます。
まだ言葉にならないほどの小さな変化が、積み重なると一年のリズムを変えていきます。
前の季節の過ごし方が、次の季節の身体をつくる
身体の動かし方にも、季節の順序があります
五行の見立てを知ると、自然と次の疑問が出てきます。
「では、実際に身体をどう動かせばいいのか」
PNFCのセルフコンディショニングには、季節ごとに「動かす場所」「動かす方向」「動かす順序」があります。
同じ場所を動かしても、春と秋では意味がまったく違う。
なぜなら、今の季節の主役臓器が変わるからです。
やみくもに動かすのではなく、今の季節の臓器に対応した場所を、その季節の回旋方向で動かす。
それがPNFCの季節養生の骨格です。
ただし、ここで一つ正直に言わなければならないことがあります。
この「順序と方向」は、伝えれば必ず誰でもうまくいく、というものではありません。
もちろん全員に同じように届くと言いたいところですが、
例外もあります。
特に、脾胃の土台がまだ整っていない状態では、動きの前に食養生と呼吸の優先順位から整える必要があります。
具体的な動きの組み立て方は、有料パートでご自身の季節と身体の状態に合わせて辿ることができます。
FOR / こんな方に
- —毎年、同じ季節に同じ症状が戻ってくると感じている方
- —今の対策をしているのに、毎シーズンまた同じ場所でつまずく方
- —春のだるさ・梅雨の重さ・秋の咳・冬の冷えが年々深くなっている方
- —五臓の連鎖と季節のリズムをご自分の身体に当てはめて読みたい方
- —「体質だから」ではなく「整えられる」という視点で季節と向き合いたい方
PREVIEW / 有料パートで辿ること
- 五臓がめぐる順序と「前の季節の蓄積」の読み方
- 脾胃が「土」である理由と、全季節の土台の整え方
- 晩季に自律神経が揺れる構造と、呼吸・体側アプローチ
- 動きと食が「同じ哲学」で動いている理由
- PNFCが臨床現場で用いる見立ての順序と、ご自分で組み立てる方法
Q&A / よくある疑問
Q. 今の季節に合わせた養生をすれば、今の不調は改善しますか?
今の季節の手当てで楽になることはあります。ただし、毎年同じ場所に戻ってくる場合は、前の季節の持ち越しが溜まっています。根本から変えるには、一季節手前から整えはじめる見方が必要です。
Q. 五行や東洋医学の知識がまったくありません。難しくないですか?
この記事と有料パートは、用語を知らない方が読んでも「自分の身体の話だ」と感じられるよう、ご自身の身体の感覚から読み進められる構成になっています。
Q. 特定の季節だけが苦手です。一部だけ読んでも意味がありますか?
意味はあります。ただし、PNFCの見立てでは「苦手な季節の直前の季節」にこそ起点があることが多いです。全体の流れを一度辿ることをおすすめしています。
この続きは有料パート
概念図・PNFC独自の見立て
~ この続きをみるには ~
