「梅雨になると重くなる身体」の正体
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
「梅雨になると重くなる身体」の正体
毎年6月になると、また始まった、と思っている方へ。
朝、目覚ましが鳴って、布団の中で腕だけを伸ばしてスマートフォンを止める。
起き上がれない、ではなくて、起き上がる気力がどこにもない…という感じです。
頭が、海中にいるみたいにぼんやりしている。
昨日も同じで、一昨日も同じで、先週もそうだった。
梅雨に入ってから、朝7時の布団がいちばん重いんですよね。
午前中のうちから疲れている。
お昼を食べたら、もう午後は頭がまわらない。
「梅雨だから仕方ない」をもう何年繰り返しているのか。
PNFCの臨床現場では、月間200名以上の身体を見ています。
梅雨の時期に「体が重くて仕方ない」「去年もこうだった」「毎年同じところで止まる」と言って来られる方が、本当に多いんです…
30年以上の現場を経験して、梅雨のだるさが「仕方ない」で終わる方と、変化していく方の違いが少しずつ見えてきました。
違いは、「脾が湿に溺れている」という構造を知っているかどうか、です。
「仕方ない」は、仕組みを知らないまま繰り返す言葉なんです。
梅雨のだるさは「天気のせい」ではない
以前は「梅雨の不調=自律神経の問題」と見ていましたが、今はその一層奥を見ています。脾が湿に負けているという、もっと根の話です。
梅雨のだるさは「天気のせい」ではありません。体質のせいでもありません。
脾が湿に負けているという、身体の状態の話です。
自律神経の乱れは「結果」であって「原因」ではない。
原因は、脾が湿に溺れることで気血の生産ラインが止まること、です。
湿気は、外から来ます。梅雨のじめじめした空気、雨の日の湿度。これが体表から入り込んで脾に届く。
同時に、内側からも湿が来ます。冷蔵庫から出したばかりの飲み物、夏に向けて増えるアイスや冷麺、エアコンの効いた部屋での冷たいものの過食。これが脾胃を内側から押さえつける内湿です。
外湿と内湿が、同時に脾を挟み撃ちにする。
ここで一つ、よく見落とされる区別があります。
外から降ってくる雨が問題なのではありません。雨が降っても平気な身体と、降るたびに溺れる身体の差が、梅雨のだるさの正体です。
水を抜くポンプが元気なら、外から水が入ってきても追い出せる。ポンプが弱れば、じわじわ溜まり続ける。脾はまさにそのポンプ役です。
梅雨のだるさは「天気のせい」ではなく、「脾のポンプ力が湿に負けている状態」です。
脾のポンプが元気であれば、同じ梅雨でも身体の通り方が変わります。
東洋医学では、脾は「後天の本」と呼ばれます。食べたものを気(エネルギー)と血(栄養)に変換する工場です。この工場が止まると、全身の燃料が途絶える。
梅雨のだるさの本当の原因は「湿が脾の工場を止めている」こと。「梅雨だから仕方ない」ではなく、「脾のポンプ力が落ちている状態」です。
状態なら、整えれば動く。仕方ない体質ではなく、いまの身体の状態です。
自律神経の揺れを、PNFCはこう見ている
脾と湿と思、三つが同時に重なるとき
梅雨のだるさを整えるには、三つの条件が同時に揃わなければ動かない、という構造があります。
一つ目は外湿への対応。
梅雨の空気が脾を押さえつけているとき、外から温めるだけでは届かない。身体の内側から湿を動かす必要があります。
二つ目は内湿の整理。
冷たい飲み物・過食・運動不足が蓄積した内湿が残ったままでは、外湿を排出する力が働きません。内側の停滞を先に動かすことが条件になります。
三つ目は「思」の過剰を止めること。
東洋医学では脾に対応する感情は「思」、つまり思い悩む・堂々巡りです。「よく考える人」ほど梅雨の不調が深くなりやすいのは、思考の過剰が脾のエネルギーをじわじわ消費するからです。
三つのうち一つでも欠けると、身体は動き出しません。
外湿を排出しようとしても、内湿が残っていれば追いつかない。
内湿を整えても、「思」の過剰が続けば脾はまた消耗する。
そして、「思」の感情に気づかないまま梅雨を迎えると、毎年同じ連鎖が繰り返される。
PNFCの現場でこのパターンを繰り返し見てきました。梅雨のだるさを「天気のせい」で終わらせてきた方の多くが、実はこの三つの連動を知らないまま、手探りで試し続けていた…。
ご自分だけで、この三つの条件の順序と組み合わせを見極めるのは、なかなか心細い作業です。
脾のポンプが動き始めると、梅雨の朝が変わる
脾が湿に負けなくなると、まず朝が変わります。
梅雨に入ってから、朝7時に布団を出たときの身体感覚が変わってきます。
布団が重い、ではなく、ちゃんと眠れた感覚で目が覚める。頭のぼんやりが、起きた直後から消えている。
午前中に動ける時間が戻ってくる。
お昼を食べた後でも、午後3時まで頭が回る。
「梅雨だから仕方ない」ではなく、梅雨でも身体の通り方が変わる朝が、連鎖して出てきます。
夕方の足首も変わります。
靴下を脱いだときの跡が残らなくなる。むくんでいた指に、指輪が入るようになる。
PNFCの現場で、毎年同じ連鎖・不調が来ると言っていた方が初めて「梅雨が楽になった」と言った秋があります。
その方が先に感じたのは、身体の変化より先に「考えが軽くなった」という感覚でした。ぐるぐると考え続けることが減って、物事をある程度のところで手放せるようになった。それが先に来て、その後から身体の重さが取れていった…。
これがPNFCの現場で繰り返し見てきた、梅雨のだるさからの変化の順番です。
この記事が向いている人
向いている方
- ✓毎年6月になると、また重くなると思っている
- ✓朝から頭がぼんやりして、午後は動けない梅雨が続いている
- ✓むくみ・食欲不振・思考の堂々巡りが梅雨ごとに来る
- ✓「梅雨だから仕方ない」が口ぐせになっている
- ✓梅雨の不調を「天気のせい」ではなく「構造」として理解したい
今は別の道が合う方
- —梅雨に不調を感じない
- —すぐに使える対処法だけを探している
- —東洋医学の考え方に関心がない
ここから先で扱うこと
- ●「思」の過剰がなぜ脾を消耗させるのか。考えすぎが身体に来る構造
- ●梅雨のだるさが春から始まっている連鎖の全体像
- ●ご自身の「湿の深さ」を5つのサインで確認する方法
- ●食養と身体の動かし方の原則と、その組み合わせの順序
- ●梅雨を乗り越える一日の設計と、毎年同じ連鎖を止める見立て
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 梅雨だけでなく、一年中だるい気がします。これに当てはまりますか?
当てはまります。梅雨に特に強く出る、という方は脾の疲弊が季節の圧に負けている状態です。一年中続いているなら、湿の蓄積が慢性化している可能性がある。この記事はその深さも確認できる内容になっています。
Q. 「よく考える性格」が原因と聞いて、少し心当たりがあります。
その心当たりは、正確です。「思」の感情と脾の関係は、東洋医学では古くから記述されてきたことです。性格を変えることが目的ではありません。その構造を知ることで、ご自身の梅雨の過ごし方が変わります。
Q. 毎年同じところで止まっているのを、今年こそ変えたいのですが。
言い切ります。毎年同じところで止まっているのは、仕組みを知らないまま繰り返しているからです。この記事で、そのループの構造を見ていただけます。もちろん全員に同じ速度を約束するものではありませんが、止まっている理由が分かることで、次の動きが変わります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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