「鍛えれば治る」は本当か
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
この一段奥にあたる話は、別の記事でゆっくり扱っています。
≫ 朝、腰に手を当てて起き上がる日が増えていませんか
「鍛えれば治る」は本当か
鍛えているのに、治らない
そんな朝を、何週間も繰り返している。ベッドから起き上がろうとして、腰に手を当てないといけない。ため息が出る。
腰が痛い、と話したら「体幹を鍛えなさい」と言われた。
膝が悪い、と言ったら「太ももの筋肉をつけなさい」と言われた。
肩こりがひどい、と言ったら「姿勢を正して肩甲骨を動かしなさい」と言われた。
言われたとおりにやってみた。筋トレも始めた。ストレッチも続けた。でも、半年たっても同じところが痛い。
「鍛え方が足りないんだろうか」と思って、もう少し頑張ってみる。それでも変わらない。むしろ、やった翌日に痛みが増していることすらある。
整骨院で「運動してますか?」と聞かれて、「してます」と答えた。先生が少し困った顔をした。
がんばっていないわけではありません。むしろ、がんばっています。それなのに変わらないとき、PNFCはこう考えています。「鍛える」という方向そのものが、ひとつ手前でズレている、と。
「筋力不足」ではなく「使われ方のズレ」
腰が痛いとき、まず思い浮かぶのは「腹筋が弱いのかな」ということだと思います。膝なら太もも、肩なら肩甲骨まわり。痛いところの近くの筋肉を鍛えれば解決する、という考え方です。
でも、ちょっと考えてみてください。赤ちゃんは筋トレなんかしていないのに、ハイハイができる。立ち上がれる。誰にも教わらずに歩き出す。
赤ちゃんの身体を支えているのは、「原始姿勢反射」と呼ばれる仕組みです。脳からの指令で、身体の深いところにある筋肉が無意識に働く。意識して力を入れなくても、勝手に身体を支えてくれる。
大人の身体にも、この仕組みは残っています。問題は、この仕組みが「眠っている」こと。使われなくなっているだけなんです。
ジムで一生懸命鍛えているのは、身体の表面にある筋肉です。アウターマッスルと呼ばれるもの。でも身体を深いところから支えているのは、その奥にある深層筋。この深層筋は、意識して「鍛える」ものではありません。脳と神経のつながりが回復すれば、勝手に動き出すものです。
…出発点が違うのかも?
つまり「鍛えても治らない」のは、がんばりが足りないからではありません。鍛えるべき場所が違う。もっと正確に言えば、鍛えるという方向そのものが違う。
PNFCでは「鍛える」ではなく「本来の機能を取り戻す」と考えます。
ジムから帰った翌朝、肩こりが戻っているのに気づいた瞬間。あのとき頭に浮かぶのは「鍛えが足りなかったのか」という自己疑念です。でもその疑念は出発点が違う。正確に言えば、鍛えるという動詞そのものが、深層筋には適用できないんです。
深層筋を「狙って鍛える」トレーニングは存在します。それは正しい。ただ、深層筋は本来「狙って動く対象」ではありません。身体が安全な環境にいると判断したときにだけ、自然に働き始める場所です。意識して力を入れようとすると、むしろ邪魔になる。
「頑張る」ことが、届かない理由だったりするんです。これは逆説に聞こえます。でも深層筋の性質を知ると、この逆説が自然に思えてくる。頑張る力は、表面の筋肉を動かします。深層を動かすのは、身体が「安全だ」と判断したときだけです。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓ストレッチや運動を続けても、同じ場所が固まり戻ってくる
- ✓整体に通っても、しばらくすると元に戻る
- ✓朝の起き上がりに違和感がある
- ✓痛みの場所ではなく「なぜ起きるか」を知りたい
- ✓鍛えるのではなく、本来の動きを取り戻したい
今は別の道が合う方
- —整体や施術で、すでに楽になっている時期にある
- —強い運動でガッツリ追い込みたい
- —即効性の処方箋だけを探している
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●原始姿勢反射と深層筋の眠り、いまの痛みがどこから始まっているか
- ●関節を伸ばすのではなく小さく回す、その意味と効き方
- ●代償動作が固定される仕組みと、ほどいていく順番
- ●朝の起き上がりの違和感が消えていく、そのプロセス
- ●自分の軸ズレを、朝の身体感覚から自分で読めるようになる
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 長年続いた不調でも、身体は変わりますか?
深層筋は「使われていない」だけで、消えているわけではありません。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。神経とのつながりが回復すれば、身体は応えてくれます。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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