力を抜けないのは、自律神経が関わっている
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
力を抜けないのは、自律神経が関わっている
朝、布団の中でも身体が緊張しているという方へ
朝7時、目が覚めたとき、肩がすでに重い。布団の中でまだ横になっているのに、首のあたりに石を乗せられたような感覚がある。起き上がるための「よいしょ」が、毎朝当たり前になってしまっている。
「また今日も、これか」と思いながら起き上がる。こんな朝が続いている、それが自分だけではないと感じながら、それでも理由が分からないままでいた方に、この記事を書いています。
肩を揉んでもらった翌朝も、同じように重い。整体の帰り道はたしかに軽かった。首も回った。「よし、今日はぐっすり眠れそうだ」と布団に入った。
それなのに、翌朝の肩がまた重い。枕のせいかと思って枕を替えた。寝る前に湯船にも浸かった。それでも、起き上がったとき首をゆっくり回すと、ゴリゴリと音がする…。
PNFCの臨床現場に来る方の中で、これを10年、15年、20年繰り返してきたという方は珍しくありません。整体に通い続けながら、「自分の身体は壊れているのではないか」という静かな焦りを抱えてきた方が、一定数います。
壊れているのではありません。順序が違っているだけです。
以前は「揉んでもらえば直る」と信じて整体に通っていた。今は「揉んでもらっても、3日後には戻っている」という経験が積み重なって、それが当たり前になってしまっている。この変化そのものが、身体が「この状態がデフォルト」と学習してしまったサインです。
月間200名以上の施術を続けるPNFCの臨床現場で、繰り返し確認してきたことがあります。
「力が抜けない」というのは意志の問題ではありません。神経系が「緊張しろ」という信号を出し続けている状態です。
揉みほぐしで一時的に楽になっても、その信号が変わっていなければ、筋肉はまた同じ状態に戻ります。これは整体師が下手なのでも、身体が特別に弱いのでもない。上流の指令が変わっていないから、身体は変わらない。だから繰り返す。ただそれだけです。
肩こりは「筋肉の問題」ではなく、神経系が出し続けている指令の問題
肩こりは筋肉が固まっている。だから揉めばいい。これは間違いではありません。
筋肉には使いすぎによる疲労が蓄積するし、揉むことで血流が一時的に戻って楽になるのも事実です。
ただ、見えているのは一部だけです…。
筋肉が固まる原因には、もうひとつのルートがあります。それが、神経系からの「固まれ」という指令です。
自律神経が乱れているとき、身体は臨戦態勢に入ります。交感神経が優位になると、筋肉に緊張指令が出続けます。夕方のデスクワーク中、パソコンが重いわけでも、何か持ち上げたわけでもないのに、気がつくと肩がガチガチになっている。あの感覚がそれです。
揉みほぐしは「結果」への対処。自律神経の乱れは「原因」。
結果をいくら処理しても、原因が動いている限り、症状は繰り返します。整骨院の帰りに「今日は楽だ」と感じても、翌朝にはストレスで交感神経が再び優位になります。すると筋肉に「固まれ」の指令が出て、また元に戻る。
揉んでもほぐしても戻ってくる方が一定数います。その方々に共通しているのは、筋肉の問題ではなく、自律神経が「固まれ指令」を出し続けているという構造上の問題です。
これは整骨院の先生や、揉みほぐしを信じてこられた方には少しきつい話です。でも、ここをぼかすと「何度通えばいいんですか」という問いに本当の意味で答えられなくなります。踏み込んだ言い方になりますが、「揉んでも戻る」が続いているなら、揉む方向を変えてもまた戻ります。
原因は筋肉ではなく、ここにある
肩こりは、眠れなかった時点で始まっている
PNFCが臨床現場で30年以上かけて繰り返し確認してきた事実をお伝えします。
肩が張っている方に「昨夜よく眠れましたか」と聞くと、「いえ、なんか途中で起きてしまって」という答えが返ってくることが多い…。これは偶然ではありません。
肩こりは、眠れなかった時点で始まっています。前の夜に副交感神経への切り替えができなかったとき、翌朝の筋緊張はすでに仕込まれているんです。
さらに言えば、揉まれた瞬間に身体が「戦闘モード」を強める方が一定数います。強い刺激を「外敵」と判断した神経系が、かえって交感神経を高めてしまう。揉むほどに戻るのは、根性の問題でも、施術師の技術の問題でもない。構造の問題です。
では、身体が変わるとき何が起きているのか。
温泉に肩まで浸かった瞬間、肩が3cm下がる感じがする。あれが、副交感神経への切り替わりです。筋肉への「固まれ」指令が解除されて、身体が本来のゆるみを取り戻している。
この切り替えが日常の中で起きると、身体は変わってきます。朝7時に起き上がったとき、首がゴリゴリしない。肩のあたりが、温かいタオルを乗せたときのような軽さがある。夜、布団に入ったらすぐに眠れる。
これは遠い話ではありません。順番が変われば、身体は変わります。
筋肉をほぐす前に、神経系を整える。その順番が変わると、結果の持ちが変わります。
以前は「揉んでもらって3日で戻る」だった。神経系から整える順番を知ってからは「1週間、2週間と状態が続く」に変わっていく。PNFCが現場で見てきたのは、そういう変化です。
自力でゆるませようとしても届かない、その理由
「深呼吸して」「肩の力を抜いて」と言われたとき、頭では分かっている。でも、肩がどうしても下がらない。これは、もともと力を抜くのが苦手な性格だからではありません。
副交感神経への切り替えが自力で起きにくい理由には、構造があります。
同時に揃わなければ、切り替わらない
- 呼吸の入り口の閉塞(鎖骨下の締まり)
- 胸郭の硬直(肋骨まわりの縮み固まり)
- 自律神経の偏り(交感神経が優位のまま)
- アプローチの順番(どこから手を当てるか)
この4つが同時に揃わない限り、副交感神経への切り替えは構造的にかなり難しいんです。
ご自分で順番を組み立てるのは、けっこう心細い作業です。「どこから始めれば良いのか、本当にこれで合っているのか」と立ち止まることになる。まだ言葉にしきれていない身体の感覚を一人で追いかけ続けることの、その心細さはよく分かります。
続きの本文では、その順番と仕組みを一緒に辿ります。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓ストレッチや運動を続けても、同じ場所が固まり戻ってくる
- ✓整体に通っても、しばらくすると元に戻る
- ✓朝の起き上がりに違和感がある
- ✓痛みの場所ではなく「なぜ起きるか」を知りたい
- ✓鍛えるのではなく、本来の動きを取り戻したい
今は別の道が合う方
- —整体や施術で、すでに楽になっている時期にある
- —強い運動でガッツリ追い込みたい
- —即効性の処方箋だけを探している
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●原始姿勢反射と深層筋の眠り、いまの痛みがどこから始まっているか
- ●関節を伸ばすのではなく小さく回す、その意味と効き方
- ●代償動作が固定される仕組みと、ほどいていく順番
- ●朝の起き上がりの違和感が消えていく、そのプロセス
- ●自分の軸ズレを、朝の身体感覚から自分で読めるようになる
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 年齢的に、もう変化は無理でしょうか?
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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