揉んでもらうとそのときはラクになる。でもまた同じ場所が痛む。
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
揉んでもらうと、そのときはラクになる。でも、また同じ場所が痛む。
肩を揉んでもらったとき。整体で腰をほぐしてもらったとき。
「ああ、ラクになった」と感じる。
でも、三日もすると、また同じ場所が同じように重くなる。
今度は別の場所。腰が軽くなったと思ったら、背中が張る。
肩を整えたはずなのに、首のつけ根がつらい。
整体に通うたびに、「また三日で戻った」と感じながら次の予約を入れる。
その繰り返しの中に、ずっと変わらないという疲れが積み重なっています…。
PNFCの臨床現場では、揉んでもらうことで根本から変わった実感がある方は、ほとんど見かけません。
外側の筋肉を押しても、また固まってくる。
これは身体が悪いのではなく、触れている層が最初から違うんです。
この記事では、その「層」の話をします。
なぜ上流に原因があるのか。その上流はどこにあるのか。
そして、なぜ季節によって痛む場所が変わるのか。
ここが見えると、痛みへの向き合い方が根本から変わります。
「内から外へ」。身体には5つの層があります
整骨院で「運動してますか?」と聞かれて、黙った。
「歳のせいですね」と言われるたびに、その言葉の後ろに答えを探さなくなっていく感覚があります…。
PNFCの見方では、痛みが出ている場所は「末端の結果」です。
身体には内側から外側へ5つの層があって、
多くの施術は一番外の層(第5層:外側の筋肉)から始めている。
だからそのときはラクになるけど、内側の層が変わっていないので、また同じ硬さが戻ります。
これは施術の質の問題ではありません。
「どの層から始めるか」という順番の問題です。
川下のゴミを毎日拾っても、川上のフタを開けに行かない限り、流れは変わらない。
それと同じことが、ご自身の身体で起きています。
PNFCでは、第1層の内臓機能が温まるまで、外側には触りません。
内臓が温まってから関節を動かし、
関節が動き出してから筋肉を整える。
この「順番」が、繰り返す痛みを止めるための鍵です。
逆から始めると、どれだけ丁寧に揉んでも元に戻ります。
これがPNFCの最初の転換点です。
筋骨格のこわばりを、PNFCはこう見ている
痛みは、一つの場所に留まらない
爪を切るとき、白い縦筋が増えている気がした。
関節がポキポキ鳴る。階段で膝がきしむ。
これらは全部、別々の問題に見えます。
でも上流をたどると、同じところに行き着くことが多い。
腰が痛いのに原因は腰にない、ということが、PNFCの臨床では珍しくありません。
腰が痛いからと整体でゴリゴリほぐされると、
ウエストのあたりを強く押されることがあります。
あれはちょっと危険です。腎臓のすぐそばを圧迫しているので、内臓に負担がかかります。
上流を改善すると、末端の症状は自動的に消えていく。
PNFCが目指しているのは、そういう変化です。
揉むより先に、どの層に手をつけるかを決める。その視点が、ずっと変わらなかった身体を変えていきます。
季節が変わると、痛む場所が変わる理由
春になると、股関節がこわばる。
冬になると、腰が重い。
秋口に、背中が張りやすくなる。
これは偶然ではありません。
痛みの場所と季節には、五行の対応があります。
春に股関節がこわばるのは、肝が筋と腱を支配しているから。
肝臓が硬くなると腱に影響が出て、関節がまたぐ場所に痛みが出ます。
ヘバーデン結節やブシャール結節は、まさにこの時期に発症しやすいのです。
冬の腰痛は「腰の問題」ではなく、腎陽の不足から始まっています。
そして今年の冬がとくにきついのは、
去年の夏が猛暑で心臓が酷使されたことに原因がある。
夏→秋→冬の連鎖で見ないと、真因にたどり着きません。
では、なぜご自分で上流から整えるのが難しいのか
ここが、多くの方が「分かっているけど変わらない」と感じる理由です。
条件①:内臓を温める(食養生・呼吸・温熱の組み合わせ)
+
条件②:関節の関門を正しい順番で開く(内側から外側へ)
+
条件③:その状態を日常で維持する(季節の先読みが必要)
この三つが同時に揃わないと、身体は元に戻ります。
条件①だけでは、温めても関節が動かない。
条件②だけでは、開いても内臓からの熱が届かない。
条件③がなければ、次の季節でまた詰まります。
三つの条件を正しい順番で同時に揃えることは、ご自分一人でやろうとすると、構造的にかなり難しい。
何をどの順番でやればいいか分からない。
「やってみたけど、何が変わったか実感できない」という方は、順番が合っていない可能性があります。
連鎖が動き出すと、身体の見え方が変わります
上流からほどいていくと、具体的にどんな変化が起きるのか。
朝7時。布団の中で足先がまだ冷たいまま、「また今日もここから始まるのか」という感覚がある。
起き上がるとき、腰が重くて「よいしょ」と声が出る。
こういう朝が、長く続いてきた方へ。
上流が動き出すと、朝の質が少しずつ変わります。
布団の中で足の指を少し動かしてみると、昨日より少し熱が通っている感覚があります。
仰向けに寝て、お臍の左下に手のひらを当てると、そこが少し温かくなっている。
手のひらと同じ温度になっている朝が来る。
午後3時、デスクワークの途中。
いつもは2時間もすると腰が重くなってくる場所が、今日はまだ動いています。
肩を回したとき、ゴリゴリとした感触がなくなっています。
「今日は身体が違う」と気づく午後。
夜、お風呂上がり。
膝の裏あたりをそっと触ると、ひんやりしていた鼠径部に熱が戻ってきています。
「また同じ場所が固まった」ではなく、
「昨日より少し軽い」と感じる夜が増えてきます。
PNFCの臨床現場では、外側の施術だけを続けていた方が、食養生と関門の順番を変えることで、朝のこわばりが変わってくるケースが見られます。
派手な変化ではありません。でも、「今日は昨日より動く」という小さな蓄積が、身体への信頼を取り戻す入口になります。
こわばりの悪循環
①
こわばる
②
別の筋を使う
④
全体が固まる
③
そこも疲れる
↻ どこか一点を変えると、ループ全体がほどけはじめます。
肝は筋を主り、腎は骨を主る
東洋医学には「肝は筋を主る、腎は骨を主る」という言葉があります。
筋骨格の問題は、筋肉や骨だけ見ても解決しません。
PNFCの臨床現場で気になるのは、そもそもアプローチする臓器が違っている方が多いという点です。
その奥にある臓器の状態を見る必要があります。
肝(木)→ 筋・腱
肝気がスムーズに流れていれば、筋肉はしなやかに動きます。
肝が硬くなると、腱が硬くなり、関節に痛みが出る。
春に古傷が出やすいのは、肝の季節だからです。
腎(水)→ 骨
腎が元気であれば、骨は養われます。
腎が冷えると骨がもろくなり、腰や膝に負担がかかる。
カルシウムの吸収も腎の温める力に左右されます。
脾(土)→ 筋肉量の維持
脾胃が弱ると栄養の吸収が落ちて、筋肉が痩せていきます。
「食べているのに太れない」「筋トレしても筋肉がつかない」は
脾の問題であることが多い。
食で骨を養う、という考え方
「骨粗しょう症の予防にカルシウムを」というのは知っている。
でもカルシウムをどれだけ摂っても、腎が冷えていれば吸収されません。
煮干しはカルシウムの塊です。
腎の仕事は骨を作ること。
腎を温めながら骨を補う食材を入れることで、外側から補うより深く骨に届きます。
陰の極みが深すぎるとき、陽の食材だけでは追いつかない。
そういうときは「土」で水の流れをせき止めます。
黄色いもの:かぼちゃ・生姜・ターメリック。
苦いもの:ゴーヤ・ケール・こんにゃく・豆腐(にがり)。
電子レンジで温めると、陰でも陽でもなくなります。
蒸す・煮る・焼く。火を使って陽の気を入れてください。
食べ物を変えるだけで、内側から温まる感覚が出てきます。
前の季節の過ごし方が、次の季節の身体をつくる
身体を「逆回転」で目覚めさせる
気がつくと、いつも同じ足から靴を履いている。
身体には自分でも気づかない癖があります。
その癖が積み重なって、使われていない側の筋肉が眠り続けています。
PNFCでは「逆回転」と「分離操作」という考え方を使います。
日常と逆の方向に身体を回すことで、眠っていた筋肉を目覚めさせる。
小さな動きで身体が大きく変わるのは、
「どこを固定し、どちらに動かすか」が精密に設計されているからです。
逆回転と分離操作の具体的な手順:手首から始まるD1ラインの連鎖、足首から股関節へ届く三連関節の動かし方は、本文の後半でひと続きに辿ります。どの方向に、どの順番で動かすかを読むと、なぜ揉んでもらうより長くラクが続くかが腑に落ちます。
FOR / この記事が向いている方
- ◆ 整体・接骨院を渡り歩いてきたが、根本から変わった実感がない
- ◆ 揉んでもらうとその場はラクになるが、三日もすれば同じ場所が戻る
- ◆ 肩こりが腰に移る、腰を整えたら背中が張る、という移動を経験している
- ◆ 「歳のせい」「姿勢の問題」と言われ続けてきた
- ◆ 季節の変わり目に古傷や慢性痛が出やすいと感じている
NOT FOR / 向いていない方
- — 急性の外傷(骨折・靭帯断裂)を抱えている方
- — 日常生活の動作に影響が出るほどの強い痛みがある方
- — 医師に安静を指示されている期間中の方
PREVIEW / このあとの本文では
◆ 三段階のセルフ見立て:ご自身がいまどの深さにいるかを、具体的な兆候で確認する
◆ 内臓の冷えと筋骨格の根:腎(水)と肝(木)がなぜ慢性痛の上流になるか
◆ 上半身の関門:肘・肩甲骨・C7の三点が同時にほどけると何が起きるか
◆ 下半身の三連関節:股関節・膝・足首の連鎖を、ご自分で動かす原理
◆ 日常養生の設計:朝・昼・夜・季節ごとに、ご自分のペースで組み込む具体的な手順
外側の施術で変わらなかった方が、上流の見方を一つ変えるだけで、身体の連鎖が動き出す。 その順番を、ここから一緒に辿ります。
Q & A / よくいただく疑問
Q. 整体を続けてもまた戻ります。身体が悪いのでしょうか。
戻るのは身体が悪いのではありません。触れている層が違うんです。外側の筋肉(第5層)を揉んでも、第1層の内臓機能が変わっていなければ、また同じ硬さが戻ります。川下のゴミを毎日拾っても、川上のフタを一度開けに行かない限り、流れは変わらない。それと同じです。
Q. セルフでどこまで変えられますか。
PNFCが見てきた臨床では、日常の養生が身体を変える根本です。施術はその補助に過ぎません。ただし、セルフで整える順番があります。内臓を温める→関節の関門を開く→外側の筋肉を整える。この順序を誰かに整えてもらうのがいちばん早い。それが確認できたら、日常でご自分でも継続できます。
Q. 冬の腰痛が毎年決まった時期に出ます。
それは偶然ではありません。腎が冷える季節(冬・水)と、骨を支配する臓器の連鎖が重なっています。今年の冬の腰痛は、今年の夏の過ごし方が根にあります。夏に心が過負荷になり、秋に肺が乾燥で弱り、冬に腎へのしわ寄せが来る。この連鎖で読むと、毎年の繰り返しの理由が見えます。
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概念図・PNFC独自の見立て
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