身体は「対角線」で動いている
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
身体は「対角線」で動いている
右肩を「鍛えた」のに、左腰が重い
ジムで肩のトレーニングを続けた。
筋力はついてきた実感がある。なのに、反対側の腰がだるい。
左膝を痛めて整形外科に行った。膝のリハビリをがんばっていたら、いつの間にか右肩も回しにくくなっている。
膝のリハビリを終えた帰り道、ふと階段で右肩を回そうとして、回らないことに気づく。あの瞬間、ジムに払った時間と整形外科に通った日々が、急に手のひらから滑り落ちる感覚になる。
あれ、膝と肩って関係あるの?
部位ごとに別々にケアしているのに、身体はなぜか「まとめて」不調になっていく。その経験をされている方は少なくありません。
それは偶然ではないんですよね。身体の動きには、設計の原理があります。
PNFCの臨床で月間200名以上の方を見ていると、「部位ごとに対処してきたのに、全体がまとめて不調になる」という訴えは、決して珍しくありません。膝を治しに来たのに肩が固まっていた。肩をほぐしたら腰が重くなった。これは施術のやり方の問題ではなく、身体の設計を見ていなかったことが原因です。
「鍛えれば治る」「痛いところを伸ばせば戻る」。この考え方で何年もケアを続けてきた方が多い。でも身体はその通りに動かなかった。続けても戻る。なぜ戻るのか。その構造の話です。
身体は「直線」では動いていない
朝、歯を磨こうとして腕を上げる。そのとき、腕はまっすぐ上がっていますか?
多くのトレーニングは、腕は前後に動く、膝は上下に曲がる、という考え方で組まれています。直線の動き。筋肉も、個別に「鍛える」のが基本という前提で設計されています。
ところが、実際の身体はそう動いていません。
歩くとき、右足が前に出ると左腕が自然に振れる。ボールを投げるとき、腕は外から内へ斜めに弧を描く。洗濯物を干すとき、手は体の斜め上に伸びていく。
身体は対角線で動いています。
右肩と左腰はひとつの対角線でつながっている。左肩と右腰も同じです。この対角線の連携が崩れると、離れた部位に負担が集中します。
要は、部位を個別に強くするほど、全体のバランスが崩れることがある。ここが直線的な運動の限界です。
部位別アプローチが主流の世界では、この話をすると嫌われることもあります。整形外科を否定しているように聞こえるからです。ただ、骨や関節の構造的な問題でない場合に、骨や関節だけを見ていても答えが出ないことがある。そこを避けて通る方が、ご本人にとって不誠実だと思っています。
PNFCが注目しているのは、身体の動きが本来「螺旋状」に設計されているという点です。関節は直線でなく弧を描くように動き、それが自然な負荷の分散を生む。その螺旋の動きを担うのが、深層筋です。深層筋は鍛えると強くなるのではなく、正しい動きのパターンが戻ったときに自然と目覚めてくるものです。
…本当にこの順番?
身体の設計は、局所ではなく対角線の連鎖でできています。
ご自分だけでは、整えにくい理由
対角線の連携を取り戻すためには、三つの条件が同時に整う必要があります。
ひとつ目は、どちらのパターン(D1/D2)が止まっているかを正確に見極めること。見た目の痛みの場所と、止まっているパターンは一致しません。右肩が痛くても、右側のD2ではなく左側のD1に原因があることがあります。
ふたつ目は、代償が入った順序を把握すること。代償というのは、止まったパターンを別の部位が補ってしまうことです。補い方の順序を逆から解いていかないと、戻りません。
みっつ目は、深層筋が眠りから覚めるのを待つこと。表層の筋肉を動かしながら、内側の深層筋が目覚めていく順番があります。順番を無視して力でやろうとすると、また別の代償が入ります。
この三つが同時に揃わないと、身体は元の設計に戻らないんです。ストレッチを繰り返しても、筋トレを重ねても、整体に通っても「3日で戻る」のは、この三つのうちどれかが欠けているからです。ご自身の感覚だけで全部揃えるのは、構造的にかなり難しい。
対角線の連携が戻ると、何が変わるか
朝7時、布団から起き上がるとき。腰にのしかかる鈍い重さが、ないんです。
階段を上るとき、足だけでなく上半身も一緒に動いている感覚がある。肩甲骨の奥が、かすかに動いているのがわかる。そういう変化が、対角線の連携が整うと起こります。
重い買い物袋を持ち上げるとき、腰ではなく全身で受け止めている。荷物が軽くなったわけじゃない。身体の使い方が変わっただけです。
夕方5時、長時間のデスクワークを終えて立ち上がる。以前なら首の付け根から肩にかけて、石を乗せられたような重さがあった。それが消えている。首を左右に回せる。肩甲骨の間が、ふっと軽い。
肩のケアをしていたはずなのに、腰の重さも気にならなくなっていた。そういう変化が、対角線の連携が整うと起こります。
特別な筋力がついたわけではありません。本来の動きの設計に、身体が戻っただけです。深層筋は「鍛えた」のではなく「目覚めた」のです。この違いを体感した方は、今まで続けてきたことへの後悔ではなく、「あの不快感の正体がやっとわかった」という静かな腑落ちを感じると言います。
では、その「対角線の設計」とは具体的に何なのか。D1とD2という二つの対角パターンがあります。そして、なぜ直線ではなく螺旋的な動きが関節を潤すのか。
肩のリハビリに半年通い続けたのに、帰り道の階段で右肩が回らないことに気づく。あの瞬間の感覚を、もう一度味わわなくていい。今の痛みの場所ではなく、その痛みを生んでいる連鎖の上流を見る。それが対角線の視点です。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓ストレッチや運動を続けても、同じ場所が固まり戻ってくる
- ✓整体に通っても、しばらくすると元に戻る
- ✓朝の起き上がりに違和感がある
- ✓痛みの場所ではなく「なぜ起きるか」を知りたい
- ✓鍛えるのではなく、本来の動きを取り戻したい
今は別の道が合う方
- —整体や施術で、すでに楽になっている時期にある
- —強い運動でガッツリ追い込みたい
- —即効性の処方箋だけを探している
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●原始姿勢反射と深層筋の眠り、いまの痛みがどこから始まっているか
- ●関節を伸ばすのではなく小さく回す、その意味と効き方
- ●代償動作が固定される仕組みと、ほどいていく順番
- ●朝の起き上がりの違和感が消えていく、そのプロセス
- ●自分の軸ズレを、朝の身体感覚から自分で読めるようになる
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 年齢的に、もう遅いのでは。
身体は何歳からでも応えてくれます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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