深く息を吸おうとして途中で止まる方へ
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
深く息を吸おうとして、途中で止まる方へ
朝、目が覚める。
時刻は7時。寝たのは11時半。
布団の中で、まず先に頭の重さを感じる…
「また疲れたまま朝になった」という感覚が、
起き上がる前に先に来る。
胸に少し空気を入れてみようとすると、
肋骨の上のほうで息がとまり、
それより下まで届かない…
これは自分の話だ、と思った方がいるとしたら、
読み進めてもらいたいことがあります。
PNFCの臨床が月間200名以上の施術のなかで
繰り返し目にしてきた場面があります。
夕方4時を過ぎると、
頭の芯にもやがかかったようになる。
集中しようとするほど、
呼吸がどんどん浅くなっていくのが分かる。
夜、布団に横になる。
疲れているのに、
枕に頭を乗せた瞬間に「また眠れない夜になる」という予感が先に来る。
眠れている人たちから取り残されているような感じがして、
身体の制御権が、自分の手に戻ってこない感覚…。
季節の変わり目になると、
それがより顕著になる。
春先に気分が不安定になったり、
秋口に急にだるくなったり。
イライラする日と、何もしたくない日が、交互にやってくる。
病院に行くほどではない。
検査をしても「異常なし」と言われる。
でも、身体のどこかがいつもと違う感じがする。
「自律神経の乱れでしょう」
「ストレスですね」
「もう少し休んでください」
そう言われて、
でも具体的にどうすればいいのか
わからないまま過ごしている。
これがずっと続いている、と感じているとしたら、
それは意志が弱いからではありません。
その感覚は、
身体が送っている「手がかり」でもあります。
女性の7割が冷えを持っているというデータがあります。
PNFCの臨床では、
そのうちの多くの方が「自律神経の乱れ」を同時に抱えています。
冷えと自律神経の乱れは、
同じひとつの連鎖から枝分かれしているからです。
以前は「自律神経が乱れている」という言葉を
ただ漠然と受け取っていました。
でも、30年以上の臨床を重ねるなかで気づいた。
それが身体のどの層で起きているかが見えてきた、ということに。
この違いが、PNFCのアプローチが積み上げてきた場所です。
呼吸の浅さ。だるさ。気分の波。
これらを別々に直そうとしてきたのが、
止まっていた理由でした。
ひとつの連鎖が、三つの顔で現れているだけです。
入り口はひとつ、身体の奥にあります。
「深呼吸しましょう」が、うまくいかない理由
自律神経を整えるために、よく言われることがあります。
「深呼吸をしましょう」
「リラックスする時間をつくりましょう」
「規則正しい生活を」
よく言われることです。
それ自体が間違いというわけではありません。
しかし、これらを試した方の多くが
「効果が続かない」「しばらくするとまた戻る」と感じています。
答えは、順番の問題です。
試した経験のある方の多くが感じていること:
- 深呼吸しようとしても、途中でつっかえて深く吸えない
- リラックスしようとしても、身体の力が抜けない
- 規則正しくしているのに、季節の変わり目に崩れる
- ヨガや瞑想を試しても、効果が長続きしない
もし、「深呼吸しましょう」と言われても
深く吸えないのだとしたら。
それは意志の問題ではありません。
深く吸える「状態」が、
身体の中にまだ整っていないのです。
以前は「深呼吸できない自分」を問題にしていました。
しかし、長年の臨床のなかで気づいたことがある。
問題は「自分」ではなく、深呼吸できない「状態」を作っている身体の構造だ、と。
この見方の違いが、PNFCのアプローチが他と異なる出発点です。
呼吸法の前に、
呼吸ができる身体を取り戻すこと。
リラックスの前に、
力が抜ける身体を取り戻すこと。
「やり方」の手前に、「身体の準備」があります。
なぜ「自分でやろう」とすると、うまくいかないのか
「ヨガで深呼吸をする」「瞑想を続ける」「早寝早起きを習慣にする」。
どれも正しい方向です。
でも、長続きしない。
それはなぜか。
PNFCの臨床から見えてきた構造があります。
自律神経の調整には、3つの条件が同時に揃う必要があります。
1. 通り道が開いていること(呼吸の経路に詰まりがない)
2. 横隔膜が正しく動いていること(力ではなく位置とタイミング)
3. 季節と五臓の連鎖が読めていること(どの臓から崩れているか)
どれかひとつでも欠けると、
残りの2つを整えても、
身体が応えてくれません。
この3つを自分で同時に揃えるのは、
構造上かなり難しいのです。
「何となく深呼吸した」では、
通り道が詰まったまま空気を押し込もうとしているだけ。
まるで、蛇口を強くひねっても、
ホースが折れ曲がったままでは水が出ないような話で…。
正直に言います。
ご自分で順番を組み立てるのは、けっこう心細い作業です。
「本当にこれで合っているのか」と立ち止まることも、
何度も出てきます。
30年以上の臨床を経ても、
この3つの条件をご自分で整えきれる方は、
PNFCの現場でも多くはありません。
踏み込んだ言い方ですが、これは正直に伝えなければなりません。
「続ければ必ずできる」と断言する方が、
聞こえはいいかもしれない。
でも、PNFCはそういう言い方はしません。
もちろん、全員が同じ困難を抱えているわけでもありません。
ただ、通り道・横隔膜・五臓の連鎖が同時に絡んでいる場合は、
ひとつの力だけでどうにかしようとすると、
どこかで必ず壁に当たる。
これが臨床の現実です。
これは努力の問題ではなく、
「見立て」の問題です。
自律神経の揺れを、PNFCはこう見ている
第1層
表に現れている症状
不眠 / 動悸 / めまい / 胸の詰まり / 疲れがとれない
— ここを揉んでも、しばらくすると戻ってくる
第2層
巡りと呼吸の停滞
血の流れが鈍る / 水の巡りが滞る / 呼吸が浅くなる / 自律神経の揺れ
— 第1層の症状を作り出している、ひとつ手前の流れ
第3層 / 根
五臓の循環と季節のリズム
前の季節の過ごし方 / 五臓の連鎖 / 使われ方のズレ / 深層の眠り
— ここに手がつくと、上の二層が一緒にほどけはじめる
深層を覚ます順番を、ご一緒に辿る
STEP 01 起こす
深層に届く呼吸を、ひとつ取り戻す
激しい運動の前に、横隔膜の動きを取り戻す。眠っていた深層筋に「これから動くよ」と合図を送る段階です。
STEP 02 ほどく
こわばっている関節を、小さく回す
大きく伸ばすのではなく、小さく回す。可動域を広げるのではなく、軸のズレを少しずつ整えていきます。
STEP 03 巡らせる
整えた身体を、自分のリズムで動かす
深層が起きて、関節がほどけたあとなら、ふだんの動きそのものが養生になります。順番を守ることが、いちばんの近道です。
起こす / ほどく / 巡らせる。この順番が逆になると、せっかくの動きが届きません。
呼吸法の前に、「通り道」を開くこと
「腹式呼吸がいい」
「胸式呼吸がいい」
「4-7-8呼吸法を試しましょう」
さまざまな呼吸法が紹介されています。
どれも、呼吸の「やり方」についてのものです。
ところがPNFCでは、
呼吸法よりも先に取り組むことがあります。
空気の「通り道」を開くこと。
どれほど正しい呼吸法を学んでも、
空気の通り道が狭くなっていたら、
十分に吸うことはできません。
これはまるで、パイプが詰まったまま蛇口を全開にするようなもので…
流れるのは詰まりの手前までです。
PNFCには、
気道を確保するための独自のアプローチがあります。
口の形をそっと整えるだけで、
気道が自然に広がる。
その仕組みについては、この先の本文で順序を追って説明しています。
ここでは、一点だけお伝えします。
通り道が開いたとき、
朝の目覚めに違う感覚が来ることがあります。
布団の中でまず最初に感じる「頭の重さ」が、
少し軽くなる朝。
胸に空気を入れようとしたとき、
肋骨の途中で止まっていた感じが、
もう少し下まで届く感覚…
難しい呼吸法を学ぶ前に、
まず通り道を開く。
そのうえで、横隔膜の本来の動き方、
前後ではなく「横に膨らむ」呼吸を
取り戻していく。
さらに、鎖骨の下あたりを
そっと刺激してあげると、
呼吸がもう一段深くなります。
通り道を開き、
横隔膜の動きを取り戻し、
鎖骨からアプローチする。
この「順番」が、
呼吸を根本から変えていきます。
なぜ口の形なのか。
なぜ鎖骨なのか。
なぜ横隔膜は横に膨らむべきなのか。
その仕組みを、
この先の本文で身体の構造とともにお伝えしています。
ひとつだけ、ここで伝えます。
微熱が続く方の多くは、
酸素の供給が追いついていません。
PNFCの臨床現場でも、
体温計で測ると37.0〜37.4の低い微熱が続く方が、
呼吸の通り道を開いた後から、
静かに体温が正常に落ち着いていくことがあります。
これは不思議なことではありません。
酸素が足りないとき、
身体は発熱という形で「もっと供給してくれ」と訴えます。
ちょうど、水が足りない植物が葉を丸めてサインを出すように。
通り道が開けば、
その訴えが不要になるだけです。
PNFCの臨床現場での長年の観察が、
この仕組みの根拠になっています。
自律神経の悪循環
①
呼吸が浅くなる
②
交感神経が優位
④
翌日また浅い呼吸
③
眠りが浅い
↻ どこか一点を変えると、ループ全体がほどけはじめます。
前の季節の過ごし方が、次の季節の身体をつくる
春の肝が動き ▸ 夏の心へ送られ ▸ 晩夏の脾が受けとめ ▸ 秋の肺が手放し ▸ 冬の腎に蓄えられる
陰陽五行の相生図 / 風流PNFC 作図
この先に進む前に、確認しておきたいこと
ここまで読んで、
「自分の身体に当てはまる」と感じた方は、
それがすでにひとつの転換点です。
「呼吸が浅い」という症状は、
表に見えている第一層。
「巡りと呼吸の停滞」が第二層。
そして「五臓の連鎖と季節のリズムのズレ」が第三層です。
この先の本文では、
第三層まで辿る順番をひとつずつ示しています。
経穴の名前、身体のどの部位に、
どんな順番でアプローチするか。
その具体を、
PNFCの見立てから丁寧に解いています。
この先の本文がご自分に合っているかを判断するための、3つの基準:
1. 呼吸法を試しても、「深く吸えない感覚」が続いている
2. 季節の変わり目に、毎年同じ時期に同じ崩れ方をする
3. 「自律神経の乱れ」と言われたが、具体的な対処法が分からなかった
1つでも当てはまる方に向けて、
PNFCの30年以上の臨床から積み上げた「順番」を、
ここから先でお伝えします。
FOR / こんな方に向けた本文です
向いている方
- 呼吸法を試しても深く吸えない感覚が続く方
- 季節の変わり目に毎年同じ崩れ方をする方
- 「自律神経失調症」と言われたが対処法が分からない方
- 夕方になると集中力が急に落ちる方
- 朝の目覚めが悪く、寝ても疲れが取れない方
合わない方
- 急性の疾患・手術前後の方(まず医療機関へ)
- すぐに結果だけを知りたい方
- 呼吸への違和感を感じていない方
PREVIEW / この先の本文で扱うこと
- 呼吸の通り道(首・横隔膜・肋骨)を開く3段階の順番
- 首のつけ根(C7)と鎖骨へのアプローチの仕組み
- 横隔膜が「横に膨らむ」本来の動き方を取り戻す原理
- 季節ごとに弱くなる臓(春:肝、秋:肺、冬:腎)の見立て
- 粘膜を内側から育てる食養生(何を入れる前に何を出すか)
Q&A / よくある問い
Q. 毎日深呼吸しているのに、効果を感じません
通り道が詰まったまま空気を押し込もうとしている状態です。深呼吸より先に「通り道を開く」ステップが必要です。順番が変わると、同じ深呼吸でも届く場所が変わります。
Q. 「自律神経失調症」と言われましたが、この本文は参考になりますか?
「自律神経失調症」は症状の名前であり原因の説明ではありません。この本文は「なぜ身体がその機能を使わなくなったか」という視点から読み解きます。医療機関での治療と並行して参考にしていただける内容です。
Q. どのくらいで変化を感じられますか?
通り道が開いた方の変化は、段階ごとに異なります。「朝の目覚めが軽くなった」という変化に気づくのに、一定の時間がかかる方もいます。すべての方に同じ速さで変化が現れるとは申しません。ただ、順番を守ることで、変化の方向は定まります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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