深呼吸の練習をしても身体が受け付けてくれない。
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
深呼吸しても、胸が途中で止まる方へ
呼吸法をやっても変わらない。その詰まりに、名前をつけます。
朝、目が覚めた瞬間にもう疲れている…
寝たはずなのに、回復した感じがしない。
そのまま布団の中で、胸に手を当ててみる。
息を大きく吸い込もうとすると、胸のあたりで止まる感覚がある。
4秒吸って、7秒止めて、8秒吐く。
腹式呼吸。深呼吸。
いろいろ試した。続けてみた。
でも、翌朝はまた同じ疲れ方で目が覚める…
こんな朝が続いているなら、
それは「やり方」の問題ではありません。
PNFCの臨床現場で月間200名以上の方を見てきました。
呼吸法を続けても疲れが取れない方、
深呼吸しようとすると胸が詰まる感じがする方、
「自律神経を整えたいのに、何をやっても変わらない」と言われる方。
ほとんどの方に共通していることがあります。
呼吸の通り道が、上流のどこかで詰まっています。
呼吸法そのものは正しい。
ただ、それが届くべき「道」が先に詰まっているんです。
詰まった道に、いくら丁寧に息を送り込もうとしても、届かない。
「自律神経のせい」と言われても、
自律神経は意志で動かせません。
動かせるのは「呼吸の通り道の柔らかさ」だけです。
以前は「心がけ次第で呼吸は深くなる」と思っていた方も多いです。
でも、身体の通り道が詰まったままでは、心がけだけでは届かないんです。
これは意志の弱さでもなく、サボりでもない。
呼吸法が効かない身体の、本当の理由
呼吸が届く「道」には、5つの層があります。
首のつけ根(C7)が硬くなっている。
横隔膜が動かなくなっている。
肋骨の関節が固まっている。
腸が冷えて固まっている。
腎が疲弊して、呼吸の根を蓄えられていない。
この5層のどこかが詰まると、呼吸はそこで止まります。
呼吸法は「詰まりを解消する道具」ではなく、「通り道が開いた身体で初めて機能する道具」です。
たとえば、蛇口から水が出ないとき。
蛇口をより丁寧に回しても、水は出てきません。
どこかで管が詰まっているなら、詰まりを先にほどく必要があります。
呼吸も同じで、
通り道を先に整えることが、深呼吸の「前の手順」です。
深呼吸をしようとする。
大きく吸い込もうとする。
でも、途中で止まる。胸のあたりが、それ以上広がってくれない…
呼吸法を習った。
腹式呼吸がいいと聞いて、お腹を膨らませてみた。
でも、やればやるほど息苦しくなる。
リラックスしたいのに、力を入れないと呼吸ができない。
そういう感覚が続いているなら、通り道のどこかが詰まっているサインです。
PNFCの見方では、呼吸法が効かないのは
「やり方」の問題ではありません。
酸素が入ってくる「道」が詰まっています。
この記事では、その先を見ていきます。
呼吸が届かない身体の構造を、東洋医学と身体の仕組みで一緒に辿ります。
なぜ、呼吸法が効かない身体があるのか。
自律神経と呼吸は、どこでつながっているのか。
季節が自律神経を揺さぶる仕組みとは何か。
全体の流れを見ておきましょう。
呼吸の「なぜ」が見えると、
自律神経との向き合い方そのものが変わります。
呼吸法ではなく、呼吸できる身体が先にある
以前は「もっと深く吸えるようになれば変わる」と思っていた。
だから呼吸法を探して、試して、続けようとした。
でも今は、その順番が逆だと分かります。
呼吸法より先に、呼吸が通る「道の柔らかさ」を取り戻すことが先です。
PNFCの見方では、酸素が届く通り道には3段階があります。
首のつけ根のC7、横隔膜、そして肋骨。
この3段階が通ってはじめて、酸素が身体の奥まで届きます。
どれも正しい呼吸法です。
ただ、それが効く身体と届かない身体があります。
違いは意志の強さではなく、通り道の状態です。
順番が違う。
呼吸法の前に、呼吸できる身体を取り戻すことが先です。
通り道が開くと、身体の変化は静かに、でも確実に現れます。
朝7時、布団から起き上がる瞬間。
胸のあたりに手を当てると、ひとりでに呼吸が深くなっているのがわかります。
以前は無理やり吸い込もうとしていた。でも今は、息が自然に入ってくる感じがある…
これは、まだ言葉にしにくい変化です。
「治った」という感じより、「身体が本来のリズムに戻ってきた」という感覚に近い。
全部分かったとは言えないけれど、何かが違う、という朝があります。
酸素の供給が追いつかないと、変な熱が上がってきます。
頭がすっきりしない、微熱が続く。
インフルエンザでもコロナでもないのに、なんかだるい。
その正体は、酸素不足です。
血液は酸素と栄養を運ぶのが仕事です。
酸素が身体中に回っていかなければ、
血の巡りも当然悪くなります…
自律神経の揺れを、PNFCはこう見ている
一見バラバラな症状が、同じ根から来ている
去年はこんなに痛くなかったのに、膝が急にきしむ。
肩が上がらない。耳鳴りが気になる。目が疲れる。
「一年中どこかが痛い」という感覚、ありませんか。
先週は耳鳴り、今週は目の疲れ、来週はまた別の場所。
これは、あちこちが壊れているのではありません。
一見バラバラに見える症状は、酸素不足という同じ根から来ています。
自律神経の乱れは「自律神経の症状」だけでは終わりません。
身体のいろいろな場所に、別々の症状として現れます。
それを個別に対処しても、根が同じままなので、別の場所に出てくる…
頭がすっきりしないのも、咳が長引くのも、
膝が急に痛くなるのも、根っこは同じです。
酸素の供給が追いついていない。
特に今の時期、寒暖差が激しい日が続くと、
自律神経がもうコントロール効かなくなります。
着たり脱いだりだけでは全然追いつかないんです…
そして見落とされがちなのが「五感」への影響です。
目がしょぼしょぼする。鼻の通りが悪い。味覚がおかしい。
五感のバランスが崩れているのは、五臓のバランスが崩れているサインです。
以前は「それぞれ別の症状」として対処しようとしていた。
でも今は、どれも同じ根から来ていると分かります。
根から辿ると、どこに手をつけるべきかが見えてきます。
自分だけでは難しい、三つの同時性
呼吸の通り道を整えるには、
三つの要素が同時に揃っていなければなりません。
一つ目は通り道の上流。
C7(首のつけ根)が硬くなったままでは、横隔膜への神経の伝達が弱まります。
二つ目は呼吸の器。
横隔膜が動けるかどうかは、肋骨の関節の柔らかさにかかっています。
肋骨が固まると、横隔膜はその中で動けない。
三つ目は下流の状態。
腸が冷えて固まっていると、横隔膜の動きに抵抗します。
さらに腎が疲弊すると、「気の根」が弱り、吸い込む力の根本が細くなります。
この三つが同時に絡み合っているとき、
ひとつだけほぐしても全体は動きません。
どこから手をつけるか、順番を誤ると同じ場所を行ったり来たりします。
ご自身で全体の順序を組み立てるのは、けっこう心細い作業です。
「本当にこれで合っているのか」と立ち止まる瞬間が、かならず来ます。
もちろん全員に当てはまるとは申しません。
ただ、「呼吸法を続けても変わらない」「自律神経を整えようとしてきたが何が問題か分からない」という詰まり方をしてきた方には、かなり届く内容だと思っています。
季節の変わり目に、自律神経が揺さぶられる理由
窓を開けたら、風が少しぬるい。
でも明日はまた急に冷え込むらしい。
この寒暖差の中で身体が追いつかなくなるのは、
陰陽のバランスが切り替わる途中だからです。
冬至は一年で一番陰が深い日です。
この日を境に、陽が反転し始める。
自律神経は、この切り替えの実務を担当しています。
春になると風が変わります。
春風はストレスを運ぶと東洋医学では考えます。
肝臓が硬くなると、筋の腱に影響が出て、
関節があちこち痛む。これが春に離婚が多い理由でもあります。
肝はその人の人格にまで影響するほど強い臓器です。
夏になると、気が頭の上から蒸発していく。
特に21時から23時は、一日で気が最も下がる危険帯です。
この時間帯に呼吸を意識するだけで、翌朝の目覚めが変わります。
通り道が開いた朝は、こんな感覚から始まります
PNFCの臨床現場で、少しずつ変化が現れてきた方々から聞く話があります。
朝7時。目が覚めて、すぐに「またつらい朝だ」と感じていたのが、
ある日から「あ、今日は少し軽い」という感覚に変わった。
布団の中で胸に手を当てると、ひとりでに呼吸が深くなっている。
以前は無理に吸い込もうとしていた。
今は息が自然に入ってくる感じがある…
夜の21時、首の後ろに手を当てると、ほんのり温かいのが分かる。
以前は、その辺りがいつも石のように張り詰めていた。
これはまだ言葉にしにくい変化です。
「全部分かった」とはならない。
でも、「何かが違う」という感覚が静かに積み重なっていく。
それが、通り道が開いていくときの本物のサインです。
PNFCの現場で30年以上、繰り返し見てきた変化です。
大きな一変ではなく、小さな「あ、今日は」の積み重ね。
その積み重ねが、ある日から逆向きに動き始めます…
自律神経の悪循環
①
呼吸が浅くなる
②
交感神経が優位
④
翌日また浅い呼吸
③
眠りが浅い
↻ どこか一点を変えると、ループ全体がほどけはじめます。
喉仏を動かすと、内臓が動き出す
あまり知られていない事実があります。
喉仏を動かすと、消化が良くなり、心拍が安定し、
免疫が高まる。不思議に聞こえますよね。
でも、そこには明確な理由があります。
喉には「迷走神経」という長い神経が通っています。
この神経は喉から始まって、心臓、肺、胃、腸と、
内臓のほとんどに枝を伸ばしています。
喉仏を刺激することは、この迷走神経を直接活性化すること。
一つの場所から複数の内臓に信号を送ることができます。
五行で見ると、呼吸は肺(金)の仕事です。
しかし肺だけでは呼吸は完成しません。
五臓すべてが連動しています。
肺が酸素を吸い込み、心がそれを全身に運ぶ。
脾が栄養を吸収して血液の質を支え、
腎が呼気を「収納」する(これを納気と言います)。
肝は気の巡りをスムーズにする調整役。
呼吸が浅いとき、肺だけ見ても解決しないのは
このチームワークのどこかが崩れているからです。
呼吸を支える「食」があります
呼吸の話なのに食?
そう感じますよね。
でも、PNFCでは呼吸と食は深くつながっています。
酸素を運ぶのは血液。粘膜を守るのは栄養。
食が整わないと、呼吸の器自体が弱ります。
お米が胃にきちんと入ると、胃は安定し、小腸を守ります。
小腸が守られると栄養の吸収が安定して、
血液の質が上がり、酸素が全身に届きやすくなる。
ちなみに、お米のインスリン分泌はゆるやかです。
パンやうどんのようにバンと血糖値が上がらない。
脳の活性化にも、膵臓の負担軽減にもつながります。
前の季節の過ごし方が、次の季節の身体をつくる
この記事が向いている人
向いている方
- ✓深呼吸しようとすると、胸のあたりで止まる感覚がある
- ✓呼吸法を続けても疲れが取れない、翌朝の倦怠感が変わらない
- ✓寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝から倦怠感がある
- ✓季節の変わり目に体調が乱れやすく、同じことが毎年繰り返される
- ✓自律神経を「整えたい」のに、何をどこから始めるべきか分からない
今は別の道が合う方
- —すぐに結果が出る方法だけを探している
- —呼吸は問題なく、他の症状だけが気になっている
- —短い情報だけで答えを得たい
ここから先で扱うこと
- ●「あなたの呼吸がどこで止まっているのか」がわかる5層の通り道
- ●C7・横隔膜・腸・腎、それぞれがどう連鎖しているか
- ●心腎相交(陰陽の切り替え)と眠れない夜の構造
- ●21時から23時の「気の危険帯」に何が起きているか
- ●ご自身の詰まり場所から始める順番の見立て
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 呼吸は問題ないのに自律神経が乱れています。この記事は関係ありますか?
深く関係します。自律神経の乱れは、呼吸の通り道の詰まりと同時に起きていることが多いです。「呼吸が浅い自覚がない」方でも、C7や横隔膜の動きが制限されているケースはPNFCの現場で多く見られます。
Q. 東洋医学は難しそうです。知識がなくても読めますか?
読めます。専門用語が出てきた場合は、ご自身の身体感覚に翻訳しながら読んでください。「腎」「心腎相交」などの用語には、必ず身体で起きていることの説明をつけています。
Q. 読んだあと、何ができるようになりますか?
ご自身の呼吸がどこで詰まっているかが見えるようになります。夜の過ごし方と翌朝の倦怠感の関係が分かります。「何をどこから整えるか」の順番が、ぼんやりではなく具体的に見えてきます。
このあとの本文では、C7から腎まで5層の通り道を一本の線で辿り、呼吸が届いた先に現れる朝を具体的にお見せします。
朝7時、布団の中で胸に手を当てると、ひとりでに呼吸が深くなっているのが分かる。夜の21時すぎに首の後ろがほんのり温かい。夜中に目が覚めなくなった。そういった変化が、静かに積み重なっていく。
その順番を、これから一緒に辿ってみましょう。
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概念図・PNFC独自の見立て
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