春なのに手足が冷える理由
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
春なのに、まだ身体の芯が冬のまま
桜が咲いて、コートを脱いだ週。
なのに、デスクの下で足先だけがかじかんでいる。午後になって陽が差し込んできても、膝から下だけ冷たいまま。手のひらは温かいのに、指の先だけがひんやりしている…
そういう春が、続いています。
冬の間は靴下を2枚重ねて、湯たんぽで乗り切った。でも春になっても状況が変わらない。むしろ、気温の上下が激しい啓蟄(けいちつ)から春分の時期が、いちばん身体がつらかったりする…
PNFCの臨床現場では、月間200名以上の方を診ています。
そのうち女性の7割が冷えを自覚しています。そして「春が一番つらい」と話す方の多くに、共通する身体の状態があります。
靴下が増えても変わらない。整体に行っても翌週には戻る。「体質だから」「更年期だから」という言葉でひとまとめにされてきた…
そういうとき、多くの方は「戻り寒のせいだ」「まだ冬が抜けていないんだ」と思います。もう少し暖かくなれば良くなる、と。
その判断が、じつは的を外しているんです。
春の冷えは「冬の延長」ではありません。冬とはまったく別の、春固有のメカニズムで起きているんです。
もう一歩言うと、春の冷えは「前の冬の決算」です。冬にどう過ごしたか、腎にどれだけ蓄えが残ったか。それが春になって請求書として届く。気温が上がるほど、身体は冬の積み残しを暴き出してくるんです。
だから冬と同じ対処をしても、届かない。靴下を重ねれば重ねるほど、本当の問題から遠ざかっていく…ということが起きてしまいます。
「春は陽気な季節」なのに、なぜ冷えるのか
これは少し踏み込んだ言い方です。ただ、ここを知らないと春の冷えはずっと謎のままになります。
東洋医学では、春は「肝(かん)」の季節です。肝は血を巡らせる臓器。冬の間に腎(じん)が蓄えたエネルギーを受け取り、全身に血を送り出す役割を担います。
この動きは、木の芽が地面を割って出てくるのと同じです。内側から外へ、下から上へ、エネルギーが噴き出してくる。だから春は「陽気な季節」と言われる…
ところが。
肝が荒ぶると、陽気は表面に逃げて、内側が冷える。
冬の間に腎が十分に養われていなかったとき、肝は燃料の足りないエンジンのように空回りします。動こうとするエネルギーが、下から上へ、内から外へ「逃げていく」だけになる。
上半身に気が集中してのぼせる。顔だけ赤くなる。朝起きて何分かすると急に顔が熱くなって変な汗が出る。でもしばらくすると収まる。こういう症状が春先に出る方、この記事を読んでいただきたいです。
血が上に集まった分、下半身・手足・丹田(たんでん)は冷える。これが春の冷えの正体です。
蓄えが足りない
気が上に逃げる
内側・下半身が冷える
…戻り寒ではなく、肝の暴走が春の冷えをつくる
つまり春の冷えの問題は「温める力が足りない」のではなく、「巡りの方向がおかしくなっている」こと。靴下を重ねても、上に逃げた血は戻ってきません。
この視点から見ると、「春先が毎年いちばんつらい」という方の身体に起きていることが、はっきり見えてきます。冷えと同時に、のぼせや目の霞み、朝の頭のぼんやり、うつっぽさが出やすいのも、同じ根から来ているんです。
ご自身だけで春の巡りを整えるのが難しい理由
靴下を重ねること自体は、間違っていません。外から温めることで血管が少し広がり、一時的に楽になります。
ただ、肝の暴走で起きた「気の上逆」は、足先を温めても止まらない。根っこが違うからです。
では「春に肝を整えればいい」とご自分で気づいたとして、そこから実際に変えていくには、3つの条件が同時に揃う必要があります。
条件1 冬の腎の状態がどの程度消耗しているか、ご自分で正確に把握できること
条件2 肝と腎のバランスをどの順番で整えるか、上逆した気をどこに戻すか、が分かること
条件3 食・動き・呼吸の3つを春の身体に合った形で同時に組み立てられること
この3つが同時に揃わなければ、巡りの方向は変わりません。どれか一つ欠けても、春の冷えは毎年繰り返します。
毎年春になるたびに同じ不調が出て、気温が上がった頃にやっと落ち着く。そういうパターンを繰り返している方は、心細い思いをされてきたことだと思います。「体質だから」「年齢のせいだから」と言われ続けてきた方はなおさら…
でも、春の冷えは「体質」ではなく「状態」です。肝の暴走を整え、気の流れを下半身に戻すことができれば、身体は応えてくれます。
ただし、その整え方には順番があります。闇雲に動いても、消耗するだけになる。
巡りが戻ったとき、何が変わるか
春の巡りが整い始めると、変化は手足の温もりだけでは終わりません。
朝7時、布団から出た足がフローリングの冷たさに負けなくなる。靴下を探す手間がなくなる。デスクの下で足先を動かしながら仕事をしなくてよくなる。仙骨のあたりがじんわりと温かいのを感じながら、起き上がれる朝が戻ってくるんです。
午後3時、頭のぼんやりが抜けてくる。肝は目を司る臓器でもあるため、視界が少し明るくなったように感じる方が多いです。春先の「春霞」、つまり目が霞む・頭がぼーっとするというのは、肝の疲れが目に出ている状態です。肝が落ち着けば、自然と晴れていきます。
夜11時、眠りが変わります。気の上逆が落ち着くと、頭から熱が抜けて入眠しやすくなる。朝起きたときの「頭の重さ」が消えていく…。眠れたという感覚で目が覚める朝が、春の中に戻ってくる。
春分を過ぎた頃、気がついたら唇が荒れなくなっている。肌のカサカサが和らいでいる。そういう変化を報告してくださる方が、現場では多いんです。
ただ、そこへの道筋は、春の巡りの構造を上流から理解しないと見えてきません。なぜ肝が暴走するのか。気の上逆をどう整えるのか。食と動きはどの順番で組むのか。
ここから先で読めること
有料パートでは、春の冷えと肝の関係を連鎖の全体像から読み解いていきます。
- 肝の暴走 → 気の上逆 → 末端の冷えという連鎖の全体像
- 情緒・睡眠・血圧・冷えへの多層の波及と、なぜ同時に出るのか
- 立春から春分までの肝の動きと、腎との関係
- 苦味・酸味・温性。春の食材の考え方と白湯・お米の役割
- なぜ「ねじる動き」が気の流れを戻すのか、その原理
春の冷えを、根っこから整えたい方へ。
肝と巡りの構造を上流から読み解く有料パートは、こちらからお読みいただけます。知りたい方だけ、どうぞ。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓靴下や厚着では届かない場所の冷えに、心当たりがある
- ✓温活グッズを試しても、しばらくすると戻ってくる
- ✓冷えと一緒に、腰や眠りや疲れも気になっている
- ✓毎年同じ季節に、同じ不調が出る
- ✓冷えを「体質」ではなく「状態」として整えたい
今は別の道が合う方
- —外から温めれば充分、いま不足を感じていない
- —すぐに結果が出る方法だけを探している
- —短い情報だけで答えを得たい
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●あなたの冷えがどこから来ているのか、その入口が見えてくる
- ●季節ごとに腎が応える順番が分かり、毎年の不調を先読みできるようになる
- ●食卓で身体の中から温まる組み立て、黒・塩味・温性の本当の意味
- ●靴下を重ねるより先に動かすべき場所と、その理由
- ●自分の冷えの深さを、仙骨・お尻・足首から自分で読めるようになる
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 運動が苦手でも、続けられますか?
続けられます。鍛えることが前提ではなく、本来の動きを思い出すことが前提です。激しい運動は出てきません。日常の合間に取り入れられる範囲で組まれています。
Q. 40代以降でも、巡りは取り戻せますか?
取り戻せます。30年以上の現場で、いちばん早く変化に気づくのは、むしろ長く諦めてきた方々でした。身体は何歳からでも応えてくれます。年齢は理由になりません。
Q. 読んだあと、すぐに変化を感じられますか?
早い方は読んだその日のうちに、身体のどこかが軽くなるのを感じます。順番の通りに辿っていただければ、応えてくれる方が多いです。
ここから先に、もう一段深い話があります。
この続きは有料パート
概念図・PNFC独自の見立て
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