秋口に冷えが戻るのは、肺が乾いているから
この記事を書いた人
高田 一壽
たかだ かずひさ
- 役職
- PNFCメソッド 開発者
株式会社ピーエヌエフシーテック 代表 - 臨床歴
- 30年以上
- 施術実績
- 月間200名以上
- 教育
- 療術学院・競輪学校等の講師も実施経験
- 指導実績
- 全国の障害者施設・高齢者施設・スポーツ団体
- メディア
- 大手企業TVCM出演、各種スポーツ団体との契約指導
長年の現場経験から体系化されたPNFCは、「鍛える」のではなく 「本来の機能を取り戻す」 コンディショニング法として確立されました。
秋口の冷えは体質ではない。夏の積み残しが秋に出ている
夏は平気だったのに、秋になって急に冷える
夏のあいだは気にしていなかった足元の冷たさ。それが9月に入って急に意識に上がってくる。
涼しくなったんだから、身体は楽になっていいころ。なのに、足先がひんやりしている。朝、布団から出るときに腰が重い。喉がいがらっぽくて、咳が出る日がある。肌がカサつく。なんとなく、だるい。
「秋バテかな」で済ませてしまいがちです。でも、なぜ毎年同じ時期に同じことが起きるのか。
身体が変わったのではありません。夏のあいだに溜まっていた消耗が、ここで姿を見せただけです。
PNFCの臨床現場で月間200名以上を診てきたなかで、秋口に複数の不調が一気に出てくる方には、ほぼ共通したパターンがあります。夏に陰液(体液)を大量に消耗したまま、補えていないということ。
冷えだけではありません。肌のカサつき、お通じの変化、喉のいがらっぽさ。これらが一度に出てきたとしたら、「体質」のせいでも「年齢」のせいでもありません。夏の積み残しが、秋に一気に表に出てきているのです。
「秋は涼しくなったから楽になる」が、なぜ違うのか
秋口に相談が増える不調のパターンがあります。冷えと乾きと疲れが一度に出てくる、あの感じ。毎年同じ時期に同じことが起きている方を見ていると、どこか引っかかることがあります。「これは毎年繰り返してきた構造そのもので、温め方の問題ではない」と感じる瞬間です。気になって仕方ない、というか、ここを雑に扱ってはいけないとずっと思っています。
冷えは冬に悪くなる、と多くの方が思っています。厚着をして温かいものを飲んで冬を乗り切ればいい、と。
これは間違っていません。冬の冷えは確かに外気温が下がって身体が冷やされる。
ただ、秋口の冷えはそれと成り立ちが違います。外から冷えているのではなく、内側が乾いて、気が末端まで届かなくなっている状態です。
猛暑の間に身体の中の潤い、いわゆる陰液(いんえき)と呼ばれる体液が大量に消耗しています。汗として、呼吸として、外へ出ていった分が戻りきっていない。飲んでいるのに潤わない、という感覚がある方は、この状態です。
…本当にこれだけ?
身体の中が乾くと、気(エネルギー)の流れが上へ上へと偏ります。頭から汗がボタボタ出るのに、足先が冷たい。上半身はのぼせているのに、下半身が冷える。
この「気上がり」の状態が、秋口の冷えの正体です。
冬の冷えは「外から温める」で対応できる部分があります。でも秋口の冷えは、外から温めても届かない場所が冷えています。靴下を重ねても、湯たんぽを当てても、翌朝にはまたひんやりしている。それはアプローチの方向が違うからです。
ご自身だけで整えることの難しさ
秋の冷えを根っこから整えるには、三つのことが同時に揃わなければなりません。
① 夏に消耗した陰液を補う(食養と休息)
② 気を下げて足先まで届ける(動きと足湯)
③ 秋の乾燥から肺を守る(環境と呼吸)
これを正しい順番で、同時に揃えなければ、動きません。①だけやっても、②が抜ければ気は上がったまま。②だけやっても、陰液が足りなければ気は下がらない。③を後回しにすれば、また乾燥が入ってきてゼロに戻ります。
これは少し踏み込んだ言い方です。でも、PNFCの臨床現場で秋口に崩れる方の大半は、この三つを別々に、または順番を間違えてやっているのです。食養だけ一生懸命やっている。足湯だけ毎日やっている。でも全体が整っていない。
ご自分で順番を組み立てるのは、けっこう心細い作業です。「これで合っているのか」と立ち止まります。だから毎年、同じ秋に同じ不調が出てきてしまうんですよね。
まだうまく言葉にしきれない部分があるのですが、本質はもう少し奥にある気がしています。三つの条件を揃えるという話は正しい。でも、揃える「手ごたえ」の感じ方は、ご自身の身体の状態によってかなり違う。ある方には2週間で変化が出て、ある方には1ヶ月かかる。その差がどこから来るのか、まだ完全には言い切れないのですが、おそらくここが根なのだろうと感じています。
三つが揃うと、身体はこう変わる
足湯をすると、足が温まるだけじゃなくて、頭がすっきりしてくる。これ、経験したことがある方もいると思います。
上に偏っていた気が、下に降りてくる。足の裏から地の気が入ってくる。すると頭の火照りが引いて、代わりに全身がほんのり温かくなります。
朝7時。布団から足を出したとき、いつもなら足先がひんやりしているのに、その日は違う。足先まで自分の体温がある感覚。寝ている間に温もりが末端まで届いていた。
午後3時。デスクワーク中に、膝の裏がじんわりしている。以前は夕方になると足がひんやりして集中できなくなっていた。気が下に降りていると、末端の冷えではなく、末端の温もりに変わります。
夜。お風呂上がりに鏡を見ると、ふくらはぎの皮膚がしっとりしている。カサカサしていた肌に少し潤いが戻ってきた。喉のいがらっぽさが引いている。深呼吸がすんなりできる。
秋口の冷えが取れるときは、冬の冷えが取れるときとは感覚が違います。重い毛布を脱ぐような解放感ではなくて、カラカラだった身体に水が染み込んでいくような感覚。喉の調子もよくなるし、お通じも変わる。
これは「温めた」からではなく、「潤った」から起きた変化です。
PNFCの臨床現場では、秋口に「なんかここ数日、足先が温かいんです」と静かに報告してくださる方が毎年います。そのとき同時に、「喉も楽になってきて、朝のお通じも変わった」と続く。これが「潤った」のサインです。
なぜ潤いが冷えに関わるのか。そこには肺と大腸、そして秋という季節の構造が関係しています。
FOR / この記事が向いている人
向いている方
- ✓夏は平気だったのに、9月に入ってから冷えが戻ってきている
- ✓冷えと一緒に、肌のカサつき・喉の乾燥・お通じの変化もある
- ✓温活グッズを試しても、翌朝にはまた元に戻っている
- ✓毎年同じ秋に、同じ不調が出ることに気づいている
- ✓「体質」ではなく「夏の積み残し」という見方で冷えを整えたい
今は別の道が合う方
- —外から温めれば充分、今のところ不足を感じていない
- —構造よりも、すぐに結果が出る方法だけを求めている
- —身体の仕組みよりも、手順だけ知れれば十分という方
PREVIEW / ここから先で扱うこと
- ●猛暑で気が上がり、陰液が抜けていく連鎖の全体像。なぜ夏の消耗が秋に出るのか
- ●乾きが肌・お通じ・睡眠・気力へ同時に波及する構造(バラバラに見えた不調が一本に繋がる)
- ●五行「金」と秋の関係。なぜこの時期に肺が冷えの鍵になるのか
- ●肺を潤す食材の選び方。白い食材と秋の味覚が身体に届く仕組み
- ●気を下げて足先まで届ける動きの原理。ご自身で取り組めるセルフコンディショニングの順番
Q&A / 読みはじめる前に
Q. 秋になると毎年冷えが出ます。それは体質ではないのですか?
体質ではありません。毎年同じ秋に同じ不調が出るのは、毎年同じ夏の消耗パターンが積み重なっているからです。構造が同じなら、出てくるものも同じになります。構造を変えれば、秋の出方も変わります。
Q. 夏のダメージが秋に出るなら、今からでも間に合いますか?
秋口こそが、整えるのに一番効く時期です。夏の消耗は秋の始まりに表面化しますが、逆に言えば秋のうちに手を入れれば、冬への地力が変わります。30年以上の現場で、「秋に動いた方の冬は違う」を繰り返し見てきました。
Q. 食養や足湯は試したことがあります。それでも変わりませんでした。
一つだけでは変わらないことが多いです。ご自身の身体の状態に合わせて、陰液を補う・気を下げる・肺を潤すという三つを順番通りに組み合わせることが必要です。順番を変えると効果が出なくなります。この記事ではその組み合わせ方を詳しく読み解いていきます。
ここから先に、もう一段深い話があります。
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概念図・PNFC独自の見立て
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